Findy AI Meetup in Fukuoka #2 を開催します

こんにちは。

ファインディ株式会社 で Tech Lead をやらせてもらってる戸田です。

現在のソフトウェア開発の世界は、生成AIの登場により大きな転換点を迎えています。

GitHub CopilotやClaude Codeなど生成AIを活用した開発支援ツールが次々と登場し、開発者の日常的なワークフローに組み込まれつつあります。

そのような状況の中で先日、Findy AI Meetupの記念すべき第1回を、2025年8月4日(月)に福岡にて開催致しました!

tech.findy.co.jp

イベント終了後には参加者の皆さんにアンケートを回答いただき、運営メンバー全員で全ての回答に目を通しました。

どの回答からもイベントを楽しんで頂けたこと、そして学びのきっかけを届けることが出来たことが伝わってきました。参加者の皆様、改めてお礼申し上げます。ありがとうございました。

Findy AI Meetup in Fukuoka #2 開催決定!

前回開催から日は浅いですが、皆さんの熱量の高さに触れ、このたび2025年9月8日(月)にFindy AI Meetup in Fukuoka #2の開催が決定しました!

findy-inc.connpass.com

そこで今回は、イベント開催の告知と、予定している内容を紹介したいと思います。

Findy AI Meetupとは?

ファインディ株式会社のエンジニアが主催する技術系のオフラインイベントです。

ファインディ株式会社では、生成AIやAIエージェントの活用を通じて開発生産性の向上を目指す取り組みを行っています。このイベントでは、ファインディのエンジニアが社内での実践事例を紹介するとともに、エンジニア同士がつながり、知見の共有や交流を目的としています。

今回は前回の開催から1ヶ月という短いスパンでの開催とはなりますが、皆さんの熱量のおかげで2回目の開催がすぐに決定しました!本当にありがとうございます!

登壇予定

実践!カスタムインストラクション&スラッシュコマンド

GitHub CopilotやClaude等のAIツールを用いたソフトウェア開発は、今や当たり前のものとなっています。

この発表では、ファインディで用いられているカスタムインストラクションやスラッシュコマンドについて紹介します。

tech.findy.co.jp

tech.findy.co.jp

スラッシュコマンドについては、以前のテックブログで取り上げられたものの他にも、

  • Gitリポジトリの掃除
  • Claude Codeの通知設定
  • Nxのマイグレーション実行

といったものを紹介する予定です。

また、ツールの整備を通して得られた、コーディングスタイルと生成AIとの関係についても共有できればと思います。

ファインディ株式会社におけるMCP活用とサービス開発

「ファインディ株式会社におけるMCP活用とサービス開発」と題しまして、弊社のMCP活用の実例をいくつか紹介します。

まずMCP(Model Context Protocol)と、それを使った弊社のサービスについて紹介します。

tech.findy.co.jp

tech.findy.co.jp

次に、MCPを日々の開発にどのように入れ込んでいるのか、弊社の事例をいくつか紹介します。

MCPとは何なのか?そして具体的にどう活用すればいいのかヒントを得たい方に是非聞いていただきたいセッションとなっています。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

会場へのアクセスは天神駅から徒歩3分となっています。また、TVCM公開記念ノベルティや、イベント後半には懇親タイムもご用意しています。

申込みの先着順となっておりますので、気になっている方は早めにお申し込みいただくことをおすすめします。生成AIの活用事例に興味のある方は奮ってご参加ください!

イベント参加申し込みはこちらから ↓

findy-inc.connpass.com

みなさんにお会いできることを楽しみにしています!

全員が主役!OSTで生まれた"自走する組織"への第一歩

こんにちは!ファインディのTeam+開発部でEMをしている奥村です。

チームや組織が大きくなるにつれ、横の繋がりが薄くなった気がする…そんな課題を感じたことはありませんか?
私たちファインディのTeam+開発部は多くのメンバーを迎え入れながら拡大を続けています。
現在26名(業務委託除く、正社員のみ)が所属しており、そのうちここ一年でジョインしたメンバーが11名にのぼります。
一方で横軸のコミュニティ構築とメンバーの主体性の促進が組織の課題として挙がっていました。
そこでOpen Space Technology(以下OST)というワークショップを実施したので、今回はワークショップの紹介と実施レポートを報告します。

なぜOST?

まず前提として私たちは、Team+開発部を
「チーム横断での協働・協力等の相互支援を活性化し、Findy Team+開発のあるべきを主体的に思い描き、建設的な議論を行いながら自走できる組織」
にしたいと考えています。

冒頭で述べた通り、私たちTeam+開発部は多くのメンバーを迎え入れて拡大をしています。
人数増加に伴いチームも6チームに分かれていますが、正直なところ、かつてのような横軸のつながりが薄くなってきていると感じています。
また、組織課題に触れる機会も断片的・限定的になりがちで、他のチームの状況や各メンバーがどんなことを考えているのかを知る機会が減ってきています。

何かしら課題を感じても「周囲の考えが分からない」「どんな活動が進められているか見えない」といった具合に主体的な行動が抑制されかねないと感じています。
実際、属人化や対応偏り、知見や活動の共有の不足などを聞くこともありました。

そこで、次のような目的を持ってOSTを実施することにしました。

  • 横軸のコミュニティを再構築し、課題解決に向けた協働文化や成長の相互支援を活性化する
  • Team+開発の未来のあるべきを主体的に思い描き、建設的な議論を行いながら自走できる組織にする

もう少し具体的に言うと、次の狙いです。

  • 信頼関係・相互理解:チームを超えた交流の促進
  • 自己組織化:主体的にあるべき姿を考える文化の醸成
  • 自立性:自立して学び、行動する文化の促進

OSTってなに?

「OST」というワークショップをご存知でしょうか?

OSTは、参加者が自分で「これを話したい!」というテーマを持ち寄って、自由に議論するスタイルのワークショップです。
セッションテーマの提案からタイムテーブルの作成、セッションの進行までを参加者自身が主体的に行うことが特徴です。

セッションテーマは誰でも提案可能で、アジェンダもその場で決まります。
参加するセッションも参加者が自身の興味関心に合わせて自由に選べます。また、セッションの途中で他のセッションへの移動も可能です。
「対話」をメインの目的としており、明確なネクストアクションを決めるようなことはありません。
対話を通して、テーマに対する理解の深化や知見の共有、アイデア創出など行うワークショップになります。

OSTには"4つの原則"があります。これらの原則は参加者の主体性を促すOSTの鍵となります。

  1. ここにやってきた人は、誰もが適任者である
  2. 何が起ころうと、それが起こるべき唯一のことである
  3. いつ始まろうと、始まった時が適切なときである
  4. いつ終わろうと、終わった時が終わりのときである

なお、他にも"蝶と蜂"や"移動性の法則"といった特徴がありますが、私たちの人数規模では詳細に説明する必要がないと判断して省略をしました。

似たワークショップにワールドカフェがあります。
ワールドカフェは設定されたテーマに対してメンバーを変えながら議論を深めていきます。
これに対して、OSTはテーマが複数並行して進行し、参加者が自由に選べる点で異なります。


当日の流れ

全体タイムテーブル

  • 10:00 ~ 10:15: 準備
  • 10:15 ~ 10:30 アイスブレイク
  • 10:30 ~ 11:00 概要説明、タイムテーブル作成
  • 11:00 ~ 15:00 セッション
    • 11:00 ~ 11:40 セッション①
    • 11:50 ~ 12:30 セッション②
    • 12:30 ~ 13:30 お昼(お弁当)
    • 13:30 ~ 14:10 セッション③
    • 14:20 ~ 15:00 セッション④
  • 15:00 ~ 15:10 クロージング、片付け

弊社オフィス内のイベントスペースで実施をし、フルリモートのメンバーもオフィスに集まってもらい23名が参加をしました。
アイスブレイクでは、テーブルごとに他己紹介を行なってもらい、各メンバーのパーソナルな部分を知る時間を設けました。
フルリモートのメンバーやチーム外のメンバーの意外な一面を知り、本題のセッションに入る前の心理的なハードルを下げることができたと思います。
各セッションは40分+10分のバッファで設定していました。

全体の写真

セッションタイムテーブル

大枠のテーマとして「Team+の今後を考えるとき今話したいこと」を置いて、各セッションのテーマはその場で各メンバーから自由に提案してもらいました。
念の為、テーマが挙がらなければマネージャー陣がファーストペンギンに…と裏で話していましたが、全くの杞憂でした。
AIの話から、開発の進め方、品質、コミュニケーションなどなど、様々なテーマが挙がりました。

重複するものはマージし、類似するテーマは別時間にズラすなどの調整をして、最終的にはこのようなタイムテーブルとなりました。

タイムテーブル

セッション一部紹介

実際のセッションを一部紹介します。

・チームを超えた交流の方法について

チームを超えた交流の方法について

・どうやって考えている?(プロセス・手法)

どうやって考えている?(プロセス・手法)


やってみてどうだったか?

実施後アンケート

実施後アンケートから、非常にポジティブな結果が得られました。
対話と発散を意図していたため業務への活用はあまり期待していませんでしたが、「ある程度活用できる」が60%、「積極的に活用できる」が40%と、全員が何かしらの活用を考えることができたようです。
実際に、OST実施後に改善へ向けたアクションを起こしたメンバーもいました。

自由記入の感想では次のような回答がありました。

  • なかなか話す機会ないトピックについて話ができた
  • チーム外のメンバーがどう課題感を持っているか、どういう考えを持っているのかを広く知れる機会になった
  • 普段感じている課題感や難しさを共有できた
  • マネージャーからメンバーまで、役職関係なくさまざまな視点からの意見が聞けた

今回のOSTを通して、各メンバーが何かしらに興味関心を持ち、何かしらに課題感を持っていることを再確認できました。
また、それらを発散・共有するだけでも組織の一員としての意識が高まることを実感しました。
目的が達成されたのかは今後のアクション次第ではありますが、少なくとも重要で大きな一歩目を踏み出せたと感じています。
コミュニケーションにおいても、普段フルリモートのメンバーやチーム外のメンバーなど幅広く交流ができ、通常の業務で会話する際のハードルを下げられたと考えられます。

次回以降の改善点として、他セッションでの議論を知る時間を設けることやエンジニア以外のメンバーを巻き込むことなどを考えています。


まとめ

Team+開発にとってははじめてのOSTでしたが、単なる交流会ではなく、組織を強くするための大きな一歩になったと確信しています。
交流を深められた・課題感を共有できた・アイデアを出し合えた等ポジティブな感想が多く、実施後に多くのメンバーから「定期的にやってください」と直接言われるほどでした。

反省点もあるものの、それを活かして今後も引き続き、組織の強化・文化の醸成に向き合っていきます。

ファインディでは一緒に会社を盛り上げてくれるメンバーを募集中です。興味を持っていただいた方はこちらのページからご応募お願いします。

herp.careers

「開発生産性」に関する実態調査レポート概説#2 開発生産性への意外な好印象 ── アジャイル実践者59.6%が前向きな理由

こんにちは。Findy Tech Blog編集長の高橋(@Taka-bow)です。

前回の記事では、全体の44.3%が開発生産性に前向きという結果をご紹介しました。今回は開発手法別に深掘りすると、予想外の事実が浮かび上がってきました。

【調査概要】
  • 調査対象:ソフトウェア開発(組み込み開発を含む)に直接関わるエンジニア、プロダクトマネージャー、プロジェクトマネージャー、エンジニアリングマネージャー、開発責任者など
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査期間:2025年4月2日(水)~2025年5月21日(水)
  • 調査主体:ファインディ株式会社
  • 実査委託先:GMOリサーチ&AI株式会社
  • 有効回答数:798名(95%信頼区間±3.5%)
  • 統計的検定力:80%以上(中程度の効果量d=0.5を検出)
  • 調査内容:
    • 開発生産性に対する認識
    • 開発生産性に関する指標の活用状況
    • 開発生産性に関する取り組み
    • 開発環境・プロセス評価
    • 組織文化と生産性

開発生産性への印象は多様 ── 約半数が中立的立場も抵抗感は少数派

あらためて、「開発生産性」という言葉に対する印象を見てみましょう。

開発生産性への印象に関する回答分布

選択肢 回答者数 割合 詳細内訳
どちらでもない 384人 48.1%
ポジティブ 354人 44.3% とてもポジティブ + どちらかというとポジティブ
ネガティブ 61人 7.6% とてもネガティブ + どちらかというとネガティブ
合計 798人 100.0%

「開発生産性」という言葉に対してネガティブな印象を持つ人はわずか7.6%(61人)。一方で、44.3%がポジティブ(354人)な印象を持っており、約半数(48.1%)が中立的(384人)な立場を取っています。

この結果から、多くのエンジニアが生産性向上に対して前向き、あるいは少なくとも抵抗感を持っていないことが分かります。これは、日本の開発現場が変化を受け入れる準備ができていることを示唆しています。

意外な結果 ── アジャイル実践者の59.6%が開発生産性に前向き

私がこれまで出会ったアジャイルコーチの多くは、口を揃えて「生産性は測れない」「生産性に意味はない」と言っていました。そのため、アジャイル実践者ほど開発生産性という概念に抵抗を示すのではないかと予想していました。

しかし、調査結果は意外でした。

開発手法別の開発生産性に対するポジティブ印象の比較

フレームワーク 対象者数 ポジティブ印象者数 ポジティブ率
アジャイル系 245名 146名 59.6%
ウォーターフォール 294名 116名 39.5%
20.1ポイント

アジャイル実践者の約6割(59.6%)が開発生産性に前向きという結果は、ウォーターフォール開発者(39.5%)と比べて20.1ポイントも高い数値でした。

さらに、実際の取り組み状況を見てみましょう。

開発手法別の開発生産性向上への取り組み状況の比較

フレームワーク 対象者数 取り組み実施者数 取り組み率
アジャイル系 245名 117名 47.8%
ウォーターフォール 294名 105名 35.7%
12.1ポイント

アジャイル系では47.8%が実際に取り組みを実施しているのに対し、ウォーターフォールでは35.7%にとどまっています。しかし、ポジティブ印象の差(20.1ポイント)に比べて、実際の取り組み率の差(12.1ポイント)は小さいことが分かります。

つまり、アジャイル実践者は「開発生産性」に対して前向きな印象を持っているものの、実際の取り組みに落とし込めていない人が多いということです。ポジティブな印象を持つ59.6%のうち、実際に取り組んでいるのは47.8%。この差は何を意味するのでしょうか?

前回の記事で指摘した「測定指標の混乱」を考慮すると、このギャップの原因が見えてきます。実際、組織が重視する指標は千差万別です。

コード行数、バグ数、残業時間、機能数、ストーリーポイント──組織によって測定する指標はバラバラで、業界全体で「何を測るべきか」の共通認識が欠けています。DORA指標(デプロイ頻度、リードタイム、MTTR、変更失敗率)の認知度がわずか4.3%という事実も、この混乱を裏付けています。

アジャイル実践者の多くは開発生産性の重要性は理解しているものの、「何を測るべきか」「どう測るべきか」が分からず、結果として行動に移せていない可能性があるのです。

なぜアジャイル実践者は開発生産性に前向きなのか

アジャイルの価値観と生産性改善の親和性

なぜアジャイル実践者の方が前向きなのでしょうか。私の経験から考えると、アジャイルの実践と生産性改善の考え方には、次のような共通点があるのかもしれません。

1. 継続的な改善が文化として根付いている

スプリントやイテレーション(短期間の開発サイクル)ごとにレトロスペクティブで定期的に振り返り、改善を繰り返す。この習慣により、「生産性を向上させる」という考え方が自然に受け入れられています。

2. 測定と可視化が日常的な実践

ベロシティ、バーンダウンチャート、イテレーション完了率など、アジャイルチームは様々な指標を日常的に活用しています。そのため、「測定する」ことへの心理的抵抗が少ない。

3. 変化への適応力

「変化を歓迎する」というアジャイルの原則により、開発生産性という概念も「改善の機会」として前向きに捉えられます。

4. チームの自律性と当事者意識

アジャイルでは、チームが自ら課題を発見し解決策を考えます。開発生産性も「上から押し付けられる」ものではなく、「自分たちが主体的に改善する」ものとして受け止められています。

Kent Beck氏が語る測定の本質 ── 「測定が目標になると、システムは歪む」

しかし、アジャイル実践者の59.6%が前向きだという事実は、彼らが「正しく」生産性を理解していることを意味するのでしょうか?

実は、この問題について、アジャイル界のレジェンドであるKent Beck氏が重要な示唆を与えています。19年ぶりに来日し、開発生産性Conference 2025で登壇した彼は、測定と生産性の本質的な問題について警鐘を鳴らしました。

Kent Beck 氏(開発生産性Conference 2025にて)

Kent Beck氏は「グッドハートの法則」を引用しながら、こう語りました。

"When a measure becomes a target, it ceases to be a good measure. If we exert pressure on that system, the regularity will disappear. It's worse than that. If we exert pressure on that regularity to make things better, we will destroy the system that created that regularity in the first place."

「測定が目標になると、それは良い測定ではなくなります。システムにプレッシャーをかけると、規則性は消えます。それよりも悪いことに、物事を良くするためにその規則性にプレッシャーをかけると、最初にその規則性を作り出したシステムを破壊してしまうのです」

プルリクエストの例を挙げて、具体的に説明しています。

"I'm going to take my pull request that made some sense and I'm just going to slice it up. Their less readable leads to less cooperation leads to more waste leads to fewer pull requests. So by applying pressure to the software development process to make it better, we have made it worse."

「理にかなった1つのプルリクエストを細かく分割します。読みにくくなり、協力が減り、無駄が増え、プルリクエストが減ります。ソフトウェア開発プロセスにプレッシャーをかけて改善しようとすることで、悪化させてしまったのです」

このような単一メトリクスの問題に対して、「では複数のメトリクスでバランスを取ればよいのでは?」という反論が予想されます。Kent Beck氏は、この点についても次のように警告しています。

"People say well you need a balanced set of metrics. That doesn't solve the problem. Every metric that you introduce is going to distort the system that you're working in in ways that aren't what you want it to be."

「『バランスの取れたメトリクスのセットが必要だ』と言う人もいます。しかし、それでは問題は解決しません。導入するすべてのメトリクスは、望ましくない方法で作業しているシステムを歪めます」

つまり、メトリクスを増やしても、歪みが複雑化するだけで根本的な解決にはならないということです。これは、日本の組織でよく見られる「各チームが異なるKPIを追求する」状況と重なります。

ただし、Kent Beck氏自身も「測定自体は極めて価値がある」と強調しています。

"I've been measuring my own software development process as long as I've been developing and I find it extremely valuable to turn what I'm doing into numbers that I can analyze and interpret."

「私は開発している限り、自分のソフトウェア開発プロセスを測定してきました。私がしていることを分析し解釈できる数字に変えることは非常に価値があると思います」

つまり、問題は測定そのものではなく、何を測るかどう使うかなのです。

アジャイル実践者の「前向きさ」に潜む3つの勘違い

Kent Beck氏の警告を踏まえると、アジャイル実践者の「前向きさ」には次のような勘違いが潜んでいる可能性があります。

1. ベロシティ=生産性という誤解

ベロシティが上がると「生産性が向上した」と感じてしまいがちです。しかし、ベロシティはあくまでもチーム内での前イテレーションとの相対比較でしかなく、チーム間の比較や組織全体の生産性を示す指標ではありません。さらに、ストーリーポイントのインフレーション(見積もりの甘さ)や、価値の低いタスクの量産でも数字は上がります。Kent Beck氏が指摘するように、これはまさに「測定が目標になった」状態です。

2. プロセスの遵守をアウトカムと混同

アジャイルの「儀式」を正しく実行していることと、実際に価値を生み出していることは別物です。毎日スタンドアップをやり、レトロスペクティブを欠かさず、バーンダウンチャートが美しい右肩下がりを描いていても、それは「プロセスを守っている」だけかもしれません。顧客が本当に必要としている機能を届けているか、ビジネスアウトカムにつながっているか、技術的負債を積み上げていないか──これらの本質的な問いを忘れ、「アジャイルをちゃんとやっている」ことに満足してしまうリスクがあります。

3. 複数メトリクスの罠 ── なぜ全体最適が失われるのか

日本の組織では、各チームが自分たちの領域で完璧を追求する傾向があります。開発チームはベロシティを上げ、QAチームはバグ検出率を誇り、運用チームは安定性を守る。それぞれが「うちのチームは生産性が高い」と思っています。しかし、これはまさにKent Beck氏が警告する「バランスの取れたメトリクス」の問題です。各チームが異なるメトリクスを最適化することで、システム全体に複雑な歪みが生じます。開発が早くても、QAで長時間滞留し、運用への引き渡しで調整に時間がかかり、結局顧客に価値が届くまでのリードタイムは改善されない。

Kent Beck氏が指摘するように、「システムを歪めるメトリクスが多いほど、理解しにくく影響を与えにくくなる」のです。各チームの「優秀さ」が、かえって全体のボトルネックを見えなくし、誰も全体像を把握できない状況を生み出しています。

つまり、アジャイル実践者が「前向き」なのは、自分たちの測定方法や改善活動が正しいと信じているからかもしれないのです。

何を測るべきか ── Kent Beck氏が示す価値創造の道筋

本調査から明らかになったのは、どの開発手法でも「何を測るべきか」の共通認識が欠けていることです。この根本的な問題について、Kent Beck氏は価値創造の道筋を次のように説明しています。

Kent Beck 氏(開発生産性Conference 2025にて)

"We start out with effort... That's effort. We can measure it in time... Now we have some output... But we still haven't created value until the customer does something, behaves in some new kind of way... And finally the value that we created... comes back to the company in terms of increase in revenue, increase in customer satisfaction."

(*下図を示しながら)「まず努力(Effort)から始まります。これを時間で測定できます。次に何らかの成果物(Output)が生まれます。しかし、顧客が新しい行動を取るアウトカム(Outcome)が生まれるまでは、まだ価値は生まれていません。そして最終的に、創出された価値が収益増加や顧客満足度向上という影響(Impact)として会社に還元されます。」

Kent Beck 氏のプレゼン資料から引用 (p.8)

そして、この価値の道筋における測定の難しさと歪みの関係について、次のように述べています。

"The further over here we are towards effort the easier things are to measure. But also the more likely that measurement is to distort the system... The further over here you are... the harder it is to attribute value to any one person or one team but the less prone that measurement is to distorting the system."

「投入した努力(作業時間など)に近い指標ほど測定は容易ですが、同時にその測定がシステムを歪めるリスクも高まります。一方、創出された価値(ビジネスアウトカム)に近い指標ほど、そのアウトカムを特定の個人やチームに帰属させることは困難になりますが、測定によるシステムの歪みは生じにくくなります」

測定を「コントロール」ではなく「認識」のツールとして ── Kent Beck氏の4つの提言

では、どうすればこの問題から抜け出せるのでしょうか。Kent Beck氏は講演の結論で、4つのアプローチを提示しています。

Kent Beck 氏のプレゼン資料から引用 (p.11)

1. Observe later(後で観察する)

価値連鎖の早い段階(努力やコード量)ではなく、後の段階(アウトカムや影響)を観察することを推奨しています。「開発者1人あたりの利益を見てください」と彼は例を挙げています。

2. Encourage awareness(認識を促す)

「システムを高速化する最良のテクニックの1つは、システムがどれだけ速いかをグラフ化することです」と述べ、可視化によって自然な改善を促すことを提案しています。

3. Avoid pressure(プレッシャーを避ける)

「リーダーとしてプレッシャーをかけないことは最も難しいことです。しかし、プレッシャーをかけると、システムの歪みが生じます」と警告しています。

4. Instill purpose(目的を植え付ける)

「今のような頻度で本番環境のインシデントが発生しない世界は素晴らしいと思いませんか?」という形で、プレッシャーではなく共通の目標として提示することの重要性を語っています。

この観点から見ると、DORA指標(デプロイ頻度、リードタイム、MTTR、変更失敗率)も実は「Output」レベルの測定です。これらは「コード行数」のような純粋な努力(Effort)レベルよりは価値に近いものの、依然として「どれだけ速く・頻繁にリリースしたか」を測っているに過ぎません。顧客の行動変化(Outcome)やビジネスへの影響(Impact)を直接測定しているわけではないのです。

それでも、DORA指標には意味があります。なぜなら、これらの指標をプレッシャーツールとしてではなく、チームの健全性を把握し、改善の機会を見つけるための認識ツールとして使うことができるからです。

重要なのは、どんな指標であっても、それを目標化してプレッシャーをかけるのではなく、現状を理解し、チーム自身が改善方法を考えるためのツールとして活用することです。

アジャイル実践者への提案

  • ベロシティだけでなく、顧客価値の提供速度を測る
  • チームの指標とビジネス指標を接続する
  • DORA指標やDevExの考え方を取り入れる

ウォーターフォール開発者への提案

  • 現在の指標(バグ数、納期)を維持しつつ、先行指標を追加
  • 小さな改善サイクルを導入して効果を検証
  • リスクを最小化しながら段階的に変化を進める

次回予告

第3回は「開発生産性を阻む『日本の3大悪習』── 要件定義、会議、コミュニケーションの罠」をお届けします。

日本の開発現場が抱える構造的な課題と、その改善への道筋を探ります。

また、ファインディでは一緒に会社を盛り上げてくれるメンバーを募集中です。 興味を持っていただいた方はこちらのページからご応募お願いします。

herp.careers

【エンジニアの日常】エンジニアの人生を変えたイベント Part1

こんにちは。

Findy で Tech Lead をやらせてもらってる戸田です。

突然ですが皆さんは、イベントに参加することはありますか?

コロナ禍を経てオンラインイベントも増えましたし、最近はオフラインイベントも少しずつ戻ってきてるように感じています。

そこで今回は エンジニアの人生を変えたイベント と題して、弊社エンジニア達が過去に参加したイベントの中で、特に印象に残っているイベントを紹介していきます。

それでは見ていきましょう!

Hiyoko Developer Meeting

Tech Lead をやらせてもらってる戸田です。

僕が今まで参加して一番印象に残っているのは、Hiyoko Developer Meetingと呼ばれるイベントです。

hiyoko-dev.connpass.com

当時の自分は20代中盤くらいで、会社には先輩しかいない状況でした。同年代のエンジニアとの比較が出来ない状況が長く続き、自分自身のエンジニアとしての立ち位置、そして市場価値を測ることが難しかったのを覚えています。

そんな中、このイベントが開催されました。同年代のエンジニアと交流できるとのことで、すぐに参加申請を押したのを覚えています。

実際に参加して、同年代のエンジニアのみんなと交流して、自分自身の立ち位置と市場価値の現在位置を大まかに把握できましたし、自分のキャリアの方向性の答え合わせが出来ました。

その中でも強烈に覚えているのは、「エンジニアの友人」が出来たことです。

社外の横の繋がりは、転職によって会社が変わっても消えることはありません。当時は違う会社で働いていましたが、今ではファインディで一緒に働いている友人もいます。

彼らと初めて出会うきっかけをくれたこのイベントを、僕は一生忘れないでしょう。

ファインディでも先日、若手エンジニア限定のイベントを開催しました。

findy.connpass.com

このイベントに参加してくださった若手エンジニアのみなさんがXのアカウント交換をしている姿を見て、10年前の自分と友人の姿を重ねました。

当時の僕と同じ境遇の若手エンジニアの読者のみなさんも、是非イベントに参加してみてください。

そしてまずは顔見知りを作るところから始めてみてください。その出会いが友人となり、気づいたら同僚となり、戦友と呼べるような関係になるかもしれません。そのきっかけと出会いを作るのに必要なものは、あなたが持つであろう小さな勇気だけです。

TDD Boot Camp 2020 Online #1

Findy Team+を開発しているEND(@aiandrox)です。

私が一番印象に残っているイベントは、「TDD Boot Camp 2020 Online #1」というイベントです。コロナ禍で配信のみのイベントがほとんどの中で、初めて参加した「見るだけではないイベント」でした。

tddbc.connpass.com

当時、私はプログラミングスクールを卒業して、エンジニアとして就職活動をしていた頃です。テストについては興味があるが、チーム開発の経験もなく「良いテスト」がどういったものなのか肌で理解できていませんでした。そんな中で、TDDを実践できるイベントがあるということを知り、勇気を出して参加しました。

実際に参加してみると、想像していた以上に濃い体験が待っていました。

t_wadaさんによる基調講演のライブコーディングでは、FizzBuzzのテストと実装をここまで細かく繰り返すのかと衝撃を受けました。仕様のTODOリストを作成する、まずは落ちるテストから書く、利用者の視点でテストを書く、など、すべてが新しい発見でした。

初めてのモブプロでは、わからないことだらけではあったものの、現役エンジニアの方と話しながらテスト駆動開発を進めることができました。同じコードを見ながらちゃんと会話ができたのと、どう進めていくか相談をして自分の意見が取り入れられた経験が自信にもなりました。

このイベントをきっかけに、私はテストの目的や良さについて自分の言葉で話せるようになりました。それは今も開発スタイルの根源にあります。

振り返ると、あのとき「まだエンジニアでもない自分には無理かもしれない」とひよってしまうのではなく、思い切って参加して本当によかったです。

RubyKaigi 2022

Findy IDを開発しているsontixyou(@sontixyou)です。

私にとっては「RubyKaigi 2022」への参加でした。

rubykaigi.org

当時、私はベンチャー企業でエンジニアとして働いており、Ruby歴は2年でした。

RubyKaigi 2022への参加は、私にとって初めてのテックカンファレンス体験。行きの道中は、参加が楽しみであるのとワクワク感でいっぱいでした。

参加の目的はつぎのものです。

  • セッションを通じて、Rubyが好きな理由を言語化したい
  • Rubyistのつながりをつくりたい

RubyKaigi 2022の3日間、毎セクション何かしらの発表を聞きました。

分からない用語もたくさんありましたし、当時の自分の実力でもなんとか分かる内容もありました。

カンファレンス終了後、私はRubyが好きでプライベートでも仕事でもRubyを使い続けたいと思いました。

しかし、同時に課題も見つかりました。「Rubyの具体的にどんな点が好きなのか」を自分の言葉で説明できなかったのです。Ruby良いよなという感情はあるのに、それを論理的に語る知識と経験が不足していました。

この気づきから、自分のスキルアップのための取り組み方を大きく変えました。

  • Rubyの動的型付けの柔軟性を客観視できるように静的型付け言語のRustに挑戦
  • gemの開発を通じて、Rubyの深い知識を身につける
  • 地域のRubyコミュニティに定期的に参加してRubyistと交流することで、自分の考えを深める

これらを通じて、ただ「Rubyが好き」から「Rubyのこの部分がこういう理由で素晴らしい」と語れるようになりました。技術的な実力向上はもちろん、自分のキャリアの方向性も明確になったと感じています。

技術カンファレンスは、新しい知識を得る場としてだけでなく、自分の現在地を知り、自分の伸びしろを見つけるチャンスだと思います。

「分からないことがあっても大丈夫」という気持ちで、ぜひ積極的に参加してみてください。きっと、予想もしない成長のきっかけや出会いが見つかるはずです。

最後に、RubyKaigi 2022でスポンサーしていたファインディで現在働いているのはなにかの縁かもしれません。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

1回のイベントに参加するだけで、学びだけではなく、エンジニアとしてのキャリアや人生に対して大きなヒントを得ることが出来るかもしれません。ぜひ皆さんの思い出のイベントも教えてください。

現在、ファインディでは一緒に働くメンバーを募集中です。

興味がある方はこちらから ↓ herp.careers

「開発生産性」に関する実態調査レポート概説#1 日本の開発現場の「リアル」を数字で見る ── 798名の声から浮かび上がる衝撃の実態

こんにちは。Findy Tech Blog編集長の高橋(@Taka-bow)です。

皆さんは「開発生産性」という言葉を聞いて、何を感じますか?

これまで、エンジニアの「開発生産性」という概念に対する理解度や、その活用状況を体系的に調査した事例はほとんどありません。

そこで2025年、ファインディはソフトウェア開発における「開発生産性」に関する実態調査を実施し、日本のIT従事者798名にこのテーマを真正面から問いかけました。

【調査概要】
  • 調査対象:ソフトウェア開発(組み込み開発を含む)に直接関わるエンジニア、プロダクトマネージャー、プロジェクトマネージャー、エンジニアリングマネージャー、開発責任者など
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査期間:2025年4月2日(水)~2025年5月21日(水)
  • 調査主体:ファインディ株式会社
  • 実査委託先:GMOリサーチ&AI株式会社
  • 有効回答数:798名(95%信頼区間±3.5%)
  • 統計的検定力:80%以上(中程度の効果量d=0.5を検出)
  • 調査内容:
    • 開発生産性に対する認識
    • 開発生産性に関する指標の活用状況
    • 開発生産性に関する取り組み
    • 開発環境・プロセス評価
    • 組織文化と生産性

その結果は、私たちの想定を大きく覆すものでした。これまで「日本は海外に比べてアジャイルやDevOpsの浸透が遅れている」といった一面的な見方がされがちでした。 しかし、実際に見えてきたのはそれだけではありません。日本の開発現場には、品質へのこだわりやチームワークといった確かな強みがある一方で、それを十分に活かしきれない構造的な課題が浮き彫りになったのです。

まずは今回の調査から見えてきた全体像をお伝えし、その後はシリーズでテーマごとに深掘りしていきたいと思います。

それでは、第2回以降で深掘りしていく各テーマに入る前に、まずは調査全体を象徴するいくつかの結果をご紹介します。

開発生産性への認識は前向き、でも実践にはギャップが

興味深い発見のひとつは、IT従事者の開発生産性に対する認識が予想以上に前向きだったことです。

「開発生産性」という言葉に対してネガティブな印象を持つ人はわずか7.6%。多くのエンジニアが、生産性向上に対して前向きな姿勢を示していました。

特に注目すべきは、開発手法による意識の差です。

  • アジャイル実践者の59.6%がポジティブな印象
  • ウォーターフォール開発者は39.5%に留まる

私は「アジャイル実践者」のほうが、よりネガティブに捉えているのではと予想していたので、これは意外な結果でした。

また、開発生産性向上への取り組みは「実施36.6%」「未実施37.8%」と拮抗している一方で、25.6%が自組織の状況を把握していないという結果が浮かび上がりました。これは、生産性への関心は高いにもかかわらず、取り組みが十分に浸透しておらず、組織内の情報共有やコミュニケーションに課題が残っていることを示しています。

組織運営の課題が技術的課題を上回る現実

開発生産性を阻害する要因を尋ねたところ、技術的な問題よりも組織運営の課題が上位を占めました。

最大の障壁は「不明確な要件」(53.5%)です。半数以上のIT従事者が、プロジェクトの上流工程に大きな問題を感じています。続いて以下の通りです。

  • 会議が多い 38.7%
  • コミュニケーションの問題 33.6%

これらはいずれも組織運営に深く関わる問題であり、しかも長年にわたり繰り返し指摘されてきた課題です。

その根本原因は「やり方を変えないこと」にあるのではないでしょうか。どれほど最新のツールやフレームワークを導入しても、こうした本質的な課題に向き合わない限り、生産性の大幅な向上は望めません。

日本の開発現場は、技術力そのものは十分に備えているにもかかわらず、それを最大限に活かせる土壌が整っていない──そんな実態を映し出しているのかもしれません。

従来型ツールがAI時代の足かせに

ソースコード管理ツールの利用状況を見ると、技術格差の深刻さが明らかになりました。

  1. GitHub 30.5%
  2. Visual SourceSafe 15.8%
  3. Subversion 13.7%

GitHubがトップあることは驚きませんでしたが、2012年にサポートが終了したVisual SourceSafeが2位という事実は衝撃的でした。さらにSubversionも含めると、約3割の組織が従来型のバージョン管理システムを使用していました。

これは単なる「古いツールを使っている」という話では済みません。

GitHub CopilotやAmazon CodeWhispererなど、最新のAI開発支援ツールはGitベースのワークフローを前提としています。従来型ツールに縛られている組織は、AI活用による生産性向上の波に乗り遅れるリスクが高いのです。

つまり、現在の技術格差が、将来的にはさらに大きな生産性格差へと発展する可能性があるということです。

Developer Experience(DevEx)の低い認知と見えてきた課題

日本において「Developer Experience(DevEx)」という概念は、まだ広く浸透していません。今回の調査でも、DevExという言葉を知っていると答えたエンジニアはわずか 4.9% にとどまりました。

同じ調査では、DevExの要素であることを伏せたうえで、基盤的な要素の満足度も尋ねました。その結果、以下のようにきわめて低い数値が明らかになっています。

  • CI/CDパイプライン 満足度14.2%
  • ドキュメント管理システム 満足度17.5%
  • 開発環境整備 満足度24.7%

これらの結果は、日本の開発現場におけるインフラ整備の遅れを如実に物語っています。特にCI/CDパイプラインの満足度が14.2%にとどまっているのは深刻です。継続的インテグレーション/デリバリーは現代のソフトウェア開発の基本であるにもかかわらず、8割を超えるエンジニアが不満を抱えたまま日々の開発を続けているのです。

こうした環境の不備は、エンジニアのモチベーション低下を招くだけでなく、生産性そのものにも直結します。ビルド待ち時間、手動デプロイによるミス、ドキュメント不足による知識共有の停滞 ── これらの問題が開発現場を日常的に妨げているのです。

測定指標の混乱 ── 業界全体で「何を測るべきか」が不明確

最後に、最も根本的な問題があります。業界全体で「何を測るべきか」という共通認識が欠けているのです。

実際、組織によって重視する指標は大きく異なります。ある企業はコード行数を追い、別の企業はバグ数を数え、さらに別の企業は残業時間を管理しています。しかし、これらの指標が本当に開発生産性を正しく示しているのか、確信を持てている人はほとんどいません。

世界的に注目されているDORA指標(デプロイ頻度、リードタイム、平均復旧時間、変更失敗率)の認知度がわずか 4.3% にとどまっているという事実も、この混乱を裏付けています。

測定基準が曖昧なまま「生産性を上げろ」と求められても、現場は困惑するばかりです。まるでゴールの見えないマラソンを走らされているようなものです。

なぜ変われないのか ── ケイパビリティと体験のギャップ

調査では、44.3%が「開発生産性を高めたい」と前向きに答えました。 しかし、実際に自社で具体的な取り組みをしていると答えたのは36.6%にとどまります。

ここで重要なのは、この36.6%が必ずしも「正しい指標に基づいて取り組んでいる」とは限らないという点です。測定基準が不明確なままでは、努力が空回りしてしまう危険があるのです。

その背景には、“知識として知っていること”と“実際に体験していること”の間に横たわる、大きなギャップがあります。

数字だけでは動けない現場

たとえば、DORA指標の認知度はわずか4.3%。「デプロイ頻度を上げよう」「リードタイムを短縮しよう」といった施策を伝えても、それがもたらす真の価値──素早いフィードバック、リスク低減、チームの自信向上──を実感したことがなければ、単なる数字遊びにしか見えません。

同じことはCI/CDの整備にも言えます。満足度14.2%という結果は、自動化がまだ十分に根付いていないことを示しています。ビルドやテストが自動化されていれば「コードを書いたらすぐに安心できる」「金曜の夕方でもデプロイできる」──そんな開発体験が得られます。しかし、体験がなければその価値を想像することすら難しいのです。

必要なのは「体験から学ぶ」ステップ

本当に必要なのは、生産性の高い組織が備えている ケイパビリティ(組織能力) を理解し、実際に体験することです。

  • 疎結合なアーキテクチャ:チームが独立して素早く動ける
  • 自動テスト:安心してリファクタリングできる
  • モダンなバージョン管理:PR・レビュー・CI/CDが可能になる

ただし、これらのケイパビリティは一足飛びには身につきません。段階を踏んで育てていくしかないのです。

Visual SourceSafeを利用している組織は15.8%、Subversionを利用している組織は13.7%に上り、両者を合わせると全体の約3割を占めます。つまり、GitHub(30.5%)とほぼ同じ規模で、いまだにレガシー寄りの環境が現場に残っているのです。こうした環境では、PRやコードレビュー、CI/CDパイプラインといったモダンな仕組みを前提とした開発体験を実現するのは難しく、「デプロイを自動化しましょう」と言われても、その基盤自体が存在しません。

だからこそ、小さな一歩から始める必要があります。新しいツールの価値を「頭で理解する」のではなく、まずは「体験する」こと。その実感が、次のステップに進む原動力となります。こうした積み重ねが、最終的に組織全体の変革を実現していくのです。

日本の強みを活かしながら

日本の開発文化が培ってきた 品質へのこだわりチームワーク は、決して手放す必要はありません。むしろそれを土台にしながら、新しいケイパビリティを段階的に身につけていく。そのプロセスこそが現実的な改善への道筋です。

あなたの組織は今、どの段階にいますか?
そして明日から、何を始めますか?

この問いへの答えを探るために、次回以降は7回にわたり調査結果をテーマ別に深掘りしていきます。
第2回は「開発生産性への意外な好印象 ── アジャイル実践者59.6%が前向きな理由」を取り上げます。

また、ファインディでは一緒に会社を盛り上げてくれるメンバーを募集中です 興味を持っていただいた方はこちらのページからご応募お願いします。

herp.careers

Findy AI Meetup in Fukuoka #1 を開催しました

こんにちは。

ファインディ株式会社 で Tech Lead をやらせてもらってる戸田です。

現在のソフトウェア開発の世界は、生成AIの登場により大きな転換点を迎えています。

GitHub CopilotやClaude Codeなど生成AIを活用した開発支援ツールが次々と登場し、開発者の日常的なワークフローに組み込まれつつあります。

そのような状況の中で先日、Findy AI Meetupの記念すべき第1回を福岡で開催しましたので、今回はそのイベントの様子や内容を紹介します。

findy-inc.connpass.com

福岡でのイベント開催は実に2年ぶりとなっており、我々も参加者の皆さんにお会い出来ることを楽しみにしていました。

ありがたいことにキャンセル待ちが出るほどに参加申し込みをしていただきました。当日参加くださったみなさま、ありがとうございました!

Findy AI Meetupとは?

ファインディ株式会社のエンジニアが主催する技術系のオフラインイベントです。

ファインディ株式会社では、生成AIやAIエージェントの活用を通じて開発生産性の向上を目指す取り組みを行っています。このイベントでは、ファインディのエンジニアが社内での実践事例を紹介するとともに、エンジニア同士がつながり、知見の共有や交流を目的としています。

今回のMeetupは初めての開催となっており、登壇者は全員弊社のエンジニアとなっています。

登壇内容

Nx × AI によるモノレポ活用 ~ コードジェネレーター編

まず弊社のフロントエンド テックリードの新福が登壇しました。

弊社のフロントエンドの多くにはNxが採用されています。今回はNxを採用してきたことが、生成AIの時代にマッチしていたというお話をしました。

tech.findy.co.jp

これまで弊社では、NxのGeneratorを用いて開発効率の向上に取り組んできました。NxのGeneratorは強力な機能を持つ反面、覚えることも多く、初心者がとっつきにくいというのが課題でした。

tech.findy.co.jp

最近のNxは生成AIとの連携が強化されており、中でもNx MCPの登場によって、モノレポ内の情報を生成AIのコンテキストとして利用できるようになりました。

Nx MCPの素晴らしい点は、モノレポ内のプロジェクトやNxのGeneratorを自然言語で操作できることにあります。これにより、複雑なコードを書かなくても柔軟で対話的なコード生成の業務フローが実現可能になりました。

例として今回は、CopilotやClaude CodeのスラッシュコマンドからNx MCP + Nx Generatorを起動させる方法を紹介しています。

生成AI時代の業務標準化は、もうすぐそこに来ているのかもしれません。

今回はNxのGeneratorに焦点を当ててお話しましたが、Nx公式のCIサービスである「Nx Cloud」にもAI機能が続々と追加されているので、いつかご紹介できればと思います。

Findy Freelance利用シーン別AI活用例

次にフロントエンドエンジニアの主計が、Findy Freelanceチームのコーディング以外でのAI活用事例をいくつか紹介しました。

1つ目は、不具合調査時の Ask Devin の活用です。
不具合報告があった際に、不具合内容をAsk Devinに調査を依頼しています。 対象となるリポジトリを複数選択できるため、原因箇所の特定や切り分けが素早くできるようになっています。 専門領域に関わらず一次調査ができるのもありがたいです。

2つ目は、dependabotのAIレビューです。
最初はDevinのPlaybookを利用して週1でまとめてレビューを依頼していましたが、 Claude Code Base Actionを利用して随時自動で行うように改善しました。 精度も上がり、日々の作業の負担が軽減されています。

3つ目は、AI によるリファインメントの実施です。
PdMとエンジニアで行っているリファインメントの文字起こしデータをNotebookLMに追加して、 リファインメントの観点を洗い出しプロンプト化しています。 ラベル付与をトリガーとすることで、PdMメンバーが任意のタイミングでAIリファインメントを実施できるようになり、リファインメントの負担を軽減できています。 アウトプットに関しては文量が多かったり、肯定的なフィードバックになりがちだったりと課題があるので、引き続きプロンプトを調整しています。

チームでAI活用を進めるため、10分勉強会(5分LTを正社員メンバーで持ち回り)で実施しています。
継続することを優先し、スキップ可や記事紹介可などハードルを下げて取り組んでいます。詳細はこちらの記事をご覧ください。
findy-code.io

普段の業務にAIを活用するために、AIのキャッチアップと同時に、どの業務にどうAIを活用するか日々チーム全体で考えることが大事だと考えています。 引き続きAIを積極活用していくので、良い事例があれば紹介していきたいと思います。

ファインディ株式会社における生成AI活用までの軌跡

最後に、テックリードの戸田が、「ファインディ株式会社における生成AI活用までの軌跡」と題しまして、弊社が生成AIで結果を出せるようになるまでの軌跡を紹介しました。

まず弊社の開発組織の開発文化を支えている考え方やテクニックをいくつか紹介しました。以前にこのテックブログでも紹介した内容もあります。

特にタスク分解とPull requestの粒度は重要です。

tech.findy.co.jp

tech.findy.co.jp

また、統一されたコーディング規約や設計、ドキュメントを整備することも文化として根付いています。特にドキュメント整備は重要で、弊社ではJOIN初日にPull requestを出せるようにしています。

このように、弊社の開発文化を支えているテクニックはコードを書く前の事前準備を重要としており、また、環境や自動化、スピードに拘りを持っています。

これは小さなことをコツコツと積み重ねることでしか実現できませんが、それをしっかりやり切ってきた歴史があり、その積み重ねこそが開発組織の文化となっています。着実に積み重ねたものは強いのです。

次に、弊社が生成AIを活用するために取り組んだ内容を紹介しました。

既存コードの最適化や不要なコードの削除、テストコードの整備やドキュメンテーションなど、生成AIのガードレールとなる要素の整備に関して紹介しました。

また、生成AIに命令を投げる際は、可能な限りスコープを限定的にして、具体的な内容を段階的に渡すのが良いとされています。そのため、弊社で取り組んでいたタスク分解のスキルが重要となるシーンが増えました。

ここまで読んだ読者なら気付いた方もいるかもしれません。そうです。弊社の開発組織の開発文化は、生成AIが流行するずっと前から生成AIフレンドリーな文化となっていたのです。

今までの開発組織に生成AIを足した。ということではなく、今までやってきたことの延長線上に生成AIが乗っかってきた。という表現が近いかもしれません。そのため、生成AIを導入したことで一時的に生産性が落ちた。といった光景は、弊社ではほとんど見られなかったのです。

今までの積み重ねが、結果的に生成AIとの協業を可能としていました。もちろんガードレール整備がまだ行き届いていない箇所もあります。しかしながら、そこの整備に対して投資をするという意思決定が当たり前となっている開発文化でもあります。

このあと、生成AI時代の弊社の開発現場の様子をいくつか紹介させてもらいましたが、これはまた別の記事でも紹介できればと思います。

懇親会

登壇発表後は参加者の皆さんと懇親会を開催しました。

懇親会の様子

懇親会では「パックマンルール」をお願いしました。懇親会で誰かと話すときは新しい人が会話に入れるように、一人分のスペースを空けて話しましょう。というルールです。

パックマンルール

生成AI活用における悩みや知見を意見交換して、楽しんでいただけたようです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

当日、イベントに足を運んでくださった参加者のみなさん、本当にありがとうございました。頂いたアンケート結果を、次回開催の参考とさせていただきます。

次回開催は9月前後を予定しております。残念ながら今回のイベントに参加出来なかったみなさんも、次回イベント開催時には是非ご参加ください!

現在、ファインディでは一緒に働くメンバーを募集中です。

興味がある方はこちらから ↓ herp.careers

Findy AI Meetup in Fukuoka #1 を開催します

こんにちは。

ファインディ株式会社 で Tech Lead をやらせてもらってる戸田です。

現在のソフトウェア開発の世界は、生成AIの登場により大きな転換点を迎えています。

GitHub CopilotやClaude Codeなど生成AIを活用した開発支援ツールが次々と登場し、開発者の日常的なワークフローに組み込まれつつあります。

そのような状況の中でこのたび、Findy AI Meetupの記念すべき第1回を、2025年8月4日(月)に福岡にて開催することとなりました!

findy-inc.connpass.com

今回は、このイベントの紹介をしたいと思います。それでは見ていきましょう!

Findy AI Meetupとは?

ファインディ株式会社のエンジニアが主催する技術系のオフラインイベントです。

ファインディ株式会社では、生成AIやAIエージェントの活用を通じて開発生産性の向上を目指す取り組みを行っています。このイベントでは、ファインディのエンジニアが社内での実践事例を紹介するとともに、エンジニア同士がつながり、知見の共有や交流を目的としています。

福岡でのイベント開催は実に2年振りとなっており、我々も参加者の皆さんにお会い出来ることを楽しみにしています。

登壇予定

Nx × AI によるモノレポ活用 ~ コードジェネレーター編

弊社では、ほぼ全てのフロントエンドでNxによるモノレポ管理が採用されています。

tech.findy.co.jp

tech.findy.co.jp

最近のNxは生成AIとの連携が強化されており、中でもNx MCPはモノレポ内の情報を生成AIのコンテキストとして利用できるなど非常に便利です。

今回は、NxのGeneratorをより柔軟かつ対話的に利用できるよう、Nx MCPやプロンプトファイルを組み合わせ、生成AI時代の業務の標準化を目指したお話を紹介します。

Findy Freelance利用シーン別AI活用例

Findy Freelanceの開発ではコーディング時の生成AI活用はもちろんのこと、 コーディング以外の開発関連業務のなかでも生成AIを活用し業務効率化を図っています。

特長の異なる生成AIをどのように使い分けているか、利用シーン別にご紹介します。

ファインディ株式会社における生成AI活用までの軌跡

「ファインディ株式会社における生成AI活用までの軌跡」と題しまして、弊社が生成AIで結果を出せるようになるまでの軌跡を紹介します。

まず弊社の開発組織の開発文化を支えている考え方やテクニックをいくつか紹介します。

tech.findy.co.jp

tech.findy.co.jp

その開発文化の上で、どのように生成AI活用を推し進めたのか、現在はどのような開発現場になっているのかを紹介します。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

会場へのアクセスは天神駅から徒歩3分となっています。また、TVCM公開記念ノベルティや、イベント後半には懇親タイムもご用意しています。

申込みの先着順となっており、ありがたいことに参加枠も残りわずかとなっております。生成AIの活用事例に興味のある方は奮ってご参加ください!

イベント参加申し込みはこちらから ↓ findy-inc.connpass.com

みなさんにお会いできることを楽しみにしています!