こんにちは、ファインディCTOの佐藤(@ma3tk)です。
今回は、Anthropicの招待制イベント「AI Founder Salon」に参加し、登壇する機会をいただきました。
このイベントには、Anthropic共同創業者のBen Mann氏やAnthropicの社員の方々が来日していました。ぜひお話を聞いてみたいと思い参加を決めたのですが、そのタイミングで運営の方から「Fireside Chat(パネルディスカッション)形式での登壇をしてみないか」という打診があり、登壇させていただきました。
本記事では、Ben氏の発表に加え、私自身がパネルディスカッションで登壇した内容も含めてお伝えしたいと思います。
Ben氏が語った、生成AIの未来

Ben Mann氏はAnthropicの共同創業者であり、Fireside Chatで約1時間にわたって生成AIの未来について語ってくれました。その中で印象的だった3つのポイントをお伝えします。
AGIの定義は経済の50%をAIが担うこと
生成AIの未来について、Ben氏が話していた中で最も印象的だったのは、AGIの定義についてでした。
AGIが来ると言われている状況ではありますが、彼はAGIになったかどうかを判断する方法として「経済的チューリングテスト」という考え方を示していました。
これは、「あなたが仕事のために誰かを雇って、3ヶ月間働いてもらう。その相手が人間かAIか判別できない状況になる。そして、経済全体の50%の仕事がAIに置き換わったら、それがAGIである」というお話でした。数年以内にAGIが実現するだろう、というのが彼の予測でした。
特に印象的だったこととして、健康問題の解決や老化の逆転など、人類のあらゆる問題を解決する可能性が高いと話していたことです。半信半疑ではありますが、非常にワクワクするお話でした。
エージェントの本質:ツールを持った言語モデル
AIエージェントの本質についても話がありました。彼の定義はシンプルで、「ツールを持った言語モデル」というものでした。
その中で最も重要なのは、コンテキストへのアクセスであるとのことです。世の中にはたくさんのドキュメントがあります。例えば、Google Docs、SharePoint、社内システムなど、さまざまなシステムへアクセスできる言語モデルになっていく必要があります。
この「多様なシステムに、安全かつ一貫した方法でつなぎにいく」という要件に対して、この1年で登場したMCP(Model Context Protocol)という概念は、標準化を行いながらコンテキストへのアクセスを実現することを目指しています。AnthropicもMCPの開発に取り組んでおり、将来的には多くのシステムがMCPに対応していくことを期待しているそうです。
継続的学習とスキル機能
3つ目は、継続的な学習とスキル機能についてです。
パネルの中で、「AIを使う時に、毎日初めて接するような状態では作業を続けられない」と彼は言っていました。その中で Claude Skills は、継続的に学習していく上での第一歩になる機能だと紹介されていました。Claude Skills とは、カスタム指示や知識を記憶させることができる機能です。
例えば企業において、ブランディングガイドラインをドキュメントとして生成することで、デザインシステムを自分たちのプロダクトに合わせていくことができます。
また、自分たちのプロダクトの設計思想を形にしていくことで、AIが自動的にスキルを生成できるようになります。Ben氏は「3〜6ヶ月ほどで、より自動化が進むのではないか」と見立てていました。人間の役割としては、AIに対してコーチングを行うようになっていくことが見えます。
私が登壇で話した「開発速度」と「UI/UX設計」

パネルディスカッションでは、私もファインディでのClaude活用について話す機会をいただきました。大きく2つのことをお伝えしました。
開発速度の向上と、その課題
まず開発速度の向上についてです。Claude Codeを使うことでプルリクエストの数が増加し、部分的に開発生産性が上がっているメンバーもいます。
一方で、大きな課題も見えてきました。AIが作るものは、どうしても部分最適になりがちだということです。
これはプロダクトやプロジェクトのコンテキスト、私たちの思想といった要素を十分に埋め込めていないために起こることでもあります。やり取りを重ねるうちに重要な前提が会話の外へ押し出され、限られたトークン量の中で考えるほど、もともと意図していたアイデアを十分に活かし切れなくなってしまいます。
また、別タスクの会話や古い仕様の断片などが混入すると、プロダクト固有の前提が抜け落ち、結果として期待しない動作につながることもあります。
そこで、AIが作ったものを検証していく「守り」が大事になってきます。ユニットテストを書くこと、Lintツールを使うこと、そのうえでCI/CDとして守りのチェックを回すことです。これらの仕組みによってプロダクトそのものが常に安全に保たれ、AIによって意図しない方向へ進んでしまったコードを本番環境へデプロイせずに済みます。
早い段階でバグや違和感に気づける仕組みを整えていくことが大事だと考えています。
AI時代におけるUIの提供の仕方とUX設計
もう1つお話ししたのは、AI時代におけるUIの提供についてです。
テキストボックスを作ってチャット形式で入力するというUIはよく見かけますが、多くのユーザーにとって非常に難しいUIだと考えています。テキストですべて解決できるのは一部のユーザーだけです。
そうではなく、プロダクト提供者側から準備したいくつかの選択肢から選んでもらうことを実現する。ワークフローにAIを組み込んでいくことで、より便利に日々のルーティンワークをクリアにできるのではないかと思っています。
こうした設計思想こそが、その会社のプロダクトが存在する意味になってくるのではないでしょうか。
これからも、先を見続ける
今回のイベントを通じて、人間のこれからの役割について明確になったと感じています。
すでに多くの会社でAIの活用は始まっていますが、1つ1つの業務がAIワークフローに置き換わるという現象が起きています。Anthropicのような先進的な企業においては、ほとんどの簡単な業務がAIに置き換わっている状況になっているかもしれません。
では、そういった状況の先に何が来るのかを考えてみました。「自分たちの思想をクリアにし、相手が人であれAIであれ、その考えを落とし込んでいく。その結果として、AIを使ってものを作っていくという状況を作ること」が大事になってくると感じました。
創造性を発揮できる環境で、アイディアを出し続け、ブラッシュアップすることが求められてくると思います。Ben氏が語った「コーチング」と同様に、人と人のつながりやマネジメントという領域の重要性も高まっていくと考えています。
Anthropicからの招待に改めて感謝しつつ、これからAIが当たり前に使える環境を整えていくとともに、整え切った後に来る時代を見据えていきます。
また、ファインディではAI時代を一緒に切り抜けていけるようなメンバーを募集中です。
興味がある方はこちらから ↓
herp.careers