はじめに
こんにちは、GenAI Enablementチームです。
この記事はファインディエンジニア #3 Advent Calendar 2025の9日目の記事です。
今年1月に「GenAI Enablementチーム」を立ち上げてから現在までの約1年間における活動を総括します。
チーム組成から今日に至るまで、どのような課題に直面し、それらをどう解決して成果に繋げてきたのか。その過程で得られた「理想と現実」のギャップや、具体的な成果・反省点について詳述します。
今後、自社でのGenAI活用推進を担う方々にとって、実践的なヒントとなれば幸いです。
今月から、沢山のアドベントカレンダー記事が執筆される予定ですので、年末のお供に是非読んでみてください。
GenAI Enablementチームって?
まず簡単に、チームのご紹介から。
ファインディにはプロダクトマネジメント室直下にGenAI Enablementチームという、その名の通り全社のデータ生成AIを含む広義のAI活用を推進し実装する、データサイエンティストの専門部隊が存在します。
今でこそメンバー5名体制(兼務を含む)になりましたが、立ち上げ当初(2025年1月)はマネージャーと、入社したばかりのメンバー1名、計2名からのスタートでした。
チーム誕生の背景
会社として、2024年を通じて自社の事業やプロダクトに生成AIを組み込むことは、もはや『あったらいいな』ではなく、企業の生存確率を高めるための『必然』であるという確信に変わったからです。
プロダクトマネジメント室という部署にこのチームが置かれたのも、単なる業務効率化だけでなく、プロダクトの競争力強化に直結させるため。
そんなミッションを背負い、チームが発足しました。
【社内活用】プロダクト使い方Botが生んだ「意識の180度転換」
まず着手したのは、社内のAI偏差値の断絶を埋めることでした。CTOや一部のエンジニアを筆頭に、生成AIを活用する動きは社内でも出始めていたものの、まだまだ当時全社的に「生成AI?便利だって聞くし使いたいけど業務が忙しいのと、どう使っていいのかわからない…」のような空気感が漂っていました。
このままではイネーブルメントはできないと考え、はじめに生成AIアプリツール「Dify」を導入しました。Difyは、Slackと連携して便利なチャットボットを簡単に生み出すことができるため、これを活用し、最初のユースケースとして「Findy Team+の使い方Bot」を作成して全社展開してみました。

「便利やん!」から始まった変化
とはいえ正直、最初は「まあ使ってもらえれば御の字か」くらいに思ってました。 しかし、蓋を開けてみれば想定以上の反響。「これ便利すぎ!」「こんな用途で、似たようなBotを作成したい!」と、社内は一種の熱狂に包まれました。



この「Findy Team+の使い方Bot」は、Findy Team+の機能に関する説明や社内で蓄積されたドキュメント等々をナレッジとしたBotであり、これまで事業運営によって培ってきたものが結果として生成AIを強化する武器となってくれています。
しかし、このBot施策の本当の成果は使われたことそのものではありません。 Botを使っているうちに、社員みんながある事に気付いたこと。これこそが最大の成果です。
AIに適切なコンテキスト(データ)を渡し、そのデータを活用する役割を与えれば、強力なパートナーに変貌する
ということです。今までは、
「データ入力?次の予定までに済ませなくちゃいけない準備が優先だから…」
となりがちだった業務の後処理が、
「ここに入力しておけば、AIが賢くなって後で自分が楽できる!きちんと入力しよう!」
という意識に変わった事が、当初想定していなかった一番のインパクトでした。
すなわち、データをきちんと入力・整備することの重要性への意識が、180度変わったんです。
長年事業を積み重ねてきたデータ資産の価値が再定義され、全社の目線が揃った瞬間でした。

【事業貢献】Findy Insightsの立ち上げとα版リリース
GenAI Enablementチームの業務は、社内の便利ツール作りだけではありません。
今年9月に提供開始されたFindy Insightsという生成AIを中心に据えた新規プロダクトの立ち上げとα版リリースにもPoCから実装まで関わりました。
プロダクトの簡単な概要をご紹介すると、「Findy Insights」は、日々集まる膨大な「顧客の声」や「市場データ」を生成AIが分析し、「次にどんな機能を作るべきか(プロダクトディスカバリー)」を支援するサービスです。 今までPMが泥臭く読み込んでいた議事録などのテキストデータを、AIが分析して「こういうニーズが増えている」と提案してくれます。勘と経験だけに頼らない、データドリブンな意思決定を加速させるツールとなります。
プロダクトオーナー(PO)の起案からPoCの着手を2月に開始し、約3ヶ月の検証期間を経てから5月のプロダクト開発開始。9月のα版公開と顧客提供開始というスピード感あふれるタイムスケジュールで駆け抜けることができました。
本来であれば1年はかかる規模の新規プロダクト開発でしたが、半年足らずで顧客への提供開始まで漕ぎ着けることができました。その背景には、
- 提供予定の機能のPoCを、POと連携しながら常に最前線で取り組み続けたこと
- PoCにより確定した仕様をアプリケーションエンジニアと連携し、実装にも加わりつつレビューにも入り込み、密な連携を取り続けたこと
などと振り返っています。
もちろん、GenAI Enablementチームだけではなく、このプロダクトの開発に関わった全員の尽力に寄るところは言うまでもありません。
提供開始後まもなくではありますが、既に数十社以上との商談やトライアル開始などで引き合いを頂けている状況であります。
また、今後も様々な機能の開発とアップデートを予定していますので、どこかの機会でご紹介できればと思います。
取り組みの成果と社内評価
たった2名体制ながら、社内活用向けのBot開発と、事業貢献につながる新規プロダクト立ち上げの両輪で取り組みを進めました。その結果、半期に一度の全社表彰で受賞とノミネートの評価を得ることができました。

【知見共有】データサイエンティストがいなくても実装できる体制へ
成果が出れば出るほど、ぶつかった壁が「リソース不足」でした。 ML(機械学習)やLLMの実装は、一定部分をデータサイエンティストに依存してきた背景がありました。
社内活用や事業貢献の取り組みを通じて同時に取り組んだのが、エンジニアリングの冗長化です。

これまでデータサイエンティストだけで完結させていた実装ノウハウを、プロジェクトを通じて社内のエンジニアや他組織に積極的に展開しました。 その結果、今では実装面においてデータサイエンティストの手が空いてなくても、社内エンジニアに頼ればOKという状態になりつつあります。

実装工数が理由でお断りせざるを得なかった依頼も、レビュー/レビュワーの関係になりながらエンジニアチームと連携しながら進めることができるようになったことは、非常に大きな一歩だったと振り返っています。
やりきれなかったこと
ここまで良い取り組みを書いてきましたが、その裏側には、思うように前に進められなかったことも少なくありませんでした。
- お断りの連続
- 問い合わせや相談は急増しましたが、リソースには限りがあり、新規開発や業務改善の多くを先送りせざるを得ない状況が続きました。
- 生成AIフレンドリーなデータ整備
- 新しい取り組みを進めようとするほど、その実現に必要なデータが不足していたり、整備が十分でない場面に直面しました。
- 「業務改善のために Team+ の使い方Botのような仕組みが欲しい」という声も多くいただきましたが、前提となるデータが不足していたり、そもそも存在しないケースもありました。
データ活用、新規開発、Ops改善の推進に向けて、これらの課題を来年にかけて解決する必要があります。来期は、計画的に取り組みを進めていきます。
まとめ
- この1年の取り組みを経て、データ活用への意識やモメンタムを産むには、論より証拠。まずは作って示すことが効果的な方法の1つである事を学びました。
- 新規プロダクトをスピード感を持って立ち上げるには、データサイエンティストが常にPoC先頭に立って絶え間なく行い続けることができる体制を整える事が大切である事を学びました。
最後に
GenAI Enablementチームではデータ・AI活用を用いて一緒に事業貢献に取り組んでいく仲間を募集しています。興味のある方はぜひカジュアル面談等々でお話ししましょう!