こんにちは、CTO室データソリューションチームでマネージャーをしている 開(hiracky16) です。
この記事は、ファインディエンジニア #1 Advent Calendar 2025の14日目の記事です。
先日、チームで半日ほど時間をとってワークショップ(オフサイトミーティング)を実施しました。今回は、そのプロセスの中で「生成AI(Gemini)をファシリテーター兼、壁打ち役として参加させる」という試みを行った話と、そこで決まった私たちの新しいミッション・ビジョンについて書きたいと思います。
データソリューションチームについて紹介
我々のチーム、データソリューションチームについて少し紹介すると現在は職能で言うとデータエンジニアのみが所属するチームで、現チーム体制になって約1年半が経過しました。横断組織でもあるため特定の事業の仕事に取り組むのではなく全事業のデータ活用に関する依頼に対応しながらデータ基盤を作っています。もともとはデータサイエンティストと一緒のチームでしたが、組織変更を経て、データサイエンティストやデータアナリストは事業部の方に所属となり今の形となりました。ファインディのエンジニアチームの構成は次のような形です。

ワークショップ開催の経緯
日々の業務としては、各部署のデータアナリストやサイエンティストの支援をしたり、データ活用の悩みを解決したり、全社横断の検索エージェント基盤を作ったり様々です。しかし、1年半走ってくる中で、マネージャーである私自身の中に、ある種の「モヤモヤ」が溜まっていました。
優先順位の悩ましさ
ファインディでは4事業を展開している中で、事業ごとにデータ関連の仕事の相談を受けます。横断組織として複数の事業に関わる一方で、限られた人数の中で取り組むテーマに優先順位をつけながら進めています。さらに新規事業やプロダクトも控えており、今後は関わる事業やプロダクト、仕事の幅が広がる中で、より丁寧な判断が求められる場面も増えていくと考えています。
「具体的な」データ・AI戦略の言語化
優先順位に迷いながらでも現場は回っている状況ではある中で、中長期的な指針がより明確になることで、チームが同じ目的をこれまで以上に共有しやすくなると考えています。また普段は単一の事業やチームに最適な取り組みをするとよいことが多いですが、「ファインディとして」どうあるべきか?という全社視点をあらためて意識することの重要性も感じています。
データエンジニアの役割変化
生成AIの台頭により、これまでの「基盤を作って終わり」というスタイルに加えて、よりビジネス価値に踏み込んだ関わり方が求められるようになってきました。ファインディ主催のカンファレンス「Data Engineering Summit 2025」でも他社の事例を見聞きする中で、データエンジニアやデータ基盤の役割が変わりつつあることを改めて実感しました。自分がモデレーターを務めた「サイロ化解消のその先へ。ビジネス/データ、それぞれの視点で語るRevOps」というセッションでも、RevOpsという領域におけるデータエンジニアの新しい役割やキャリアについて話すことができました。
そんな危機感を感じ、チーム全員で一度立ち止まり、自分たちのミッションやビジョンを見直すタイミングだと思いました。ただ、私ひとりが悩んで決めたトップダウンの指針では十分ではありません。メンバー全員が腹落ちし、意欲的に働くための指針を作ること──それが今回のワークショップの目的でした。
準備
ワークショップを企画するにあたり、今回はGeminiを活用しました。
私自身過去ワークショップに参加したことはありましたが、主催するのは初めてです。準備や進行の面でうまくできるか不安がありました。また当時、課題感は言語化できていない曖昧な状態でした。
そこで、今回は次のようなフローで準備を進めました。
- 音声入力でひたすら喋る:現状の課題、チームの歴史、私の悩みなどを、脈絡なく音声入力でテキスト化
- Geminiに投げ込む:その長文テキストをGeminiに渡し、「これらのコンテキストを踏まえて、半日のワークショップのアジェンダと、各パートの狙いを設計して」と依頼
- 壁打ちしてブラッシュアップ:Geminiから返ってきた案に対し、「ここはもっと発散させたい」「ここは収束させたい」と対話し、スライドの骨子を作成
結果、課題の言語化にも成功しましたし、ワークショップの準備も比較的時間をかけずに終えられたと思います。
実施
当日は、会議室を半日貸し切って付箋を使いながらワークを行いました。
1. 情報のインプット
役職や社歴に問わず文脈を共有した上でワークに入れるように情報のインプットパートを設けました。まずは開催に至った経緯を丁寧にメンバーに説明し、私が抱いた悩みをメンバーも感じているのかの確認やメンバー間で違和感や課題感を揃えるところから始めました。また入社時期もバラバラで、直近だと3ヶ月前に入社したメンバーもいたのでチームの成り立ちから現状に至るまでの歴史を振り返りました。次に会社や部署の指針やミッションをスライドに記述することで会社から求められていることを意識して話し合いできるようにしました。
「生成AIの進化によるデータエンジニアやデータ基盤に求められる役割」をDeep Researchでまとめてもらい、それらを斜め読みする時間も設けました。社内の仕事だけしていると個社最適なスキルになりがちなので、世の中一般的なデータエンジニアリングのスキルと比較しながら議論しました。以下Deep Researchの結果を簡単にまとめてもらったものです。

2. 存在意義のワーク:「もし自分たちが1年いなかったら?」
まず取り組んだのが、「もし私たちのチームが存在しなくて、過去1年間不在だったら会社はどうなるか?」という思考実験です。
「データ連携が止まって、数字がズレる」や「誰もデータ基盤のメンテナンスをしなくなって、コストが爆増やセキュリティへの対応が遅れる」といったリアルな痛みから、「ツールが統一できずに情報やノウハウが分断される」といった機会損失まで様々なことが考えられました。このワークを通して我々のチームが会社や他のチームから求められていること、つまりミッションを考える上での重要な要素を洗い出すことができました。

3. Will/Can/Mustでビジョンを描く
次に、3年後の未来像を「Will/Can/Must」のフレームワークで言語化しました。メンバー個々人のキャリア上のWillと会社のビジョンである「挑戦するエンジニアのプラットフォームをつくる。」とが重なる部分を見出してチームのビジョンにしたいと思いこのワークを実施しました。
以下私が書いたことを例です。
- Can(できること) - データエンジニアリングと Google Cloud チョットデキル - 採用活動 - Must(すべきこと) - A事業部のデータ基盤開発、運用 - マネージャーとしての調整業務 - Will(やりたいこと) - 全社のデータ活用を伴走し売上に貢献できるデータエンジニアになる
他のメンバーにも同じように書いてもらい、まずはメンバー間で一緒にできそうなことはないか探りました。そうすると「価値のあるデータ」や「売上に貢献できる」というエッセンスが得られました。
4. ミッション・ビジョンを考える
最終的に決まったミッションとバリューがこちらです。
Mission: 「データとエンジニアリングの力で、ファインディの知恵を結集し、意思決定を加速させる」
Vision: 「事業成長に並走できるデータxAI基盤を作る」
1~3のステップで得られた意見を元にチームでミッション・ビジョンを考えました。内容をGoogleスライドに書き込みながら進めていたためGeminiにそのまま添付し、ミッション・ビジョンの案を3つずつ考えてもらいました。あらかじめ4つの基準を考えており、「情熱が持てるか?」「会社のミッションと関連性はあるか?」「他のチームと比べてオリジナリティがあるか?」「シンプルで覚えやすいか?」をメンバーの主観で点数化しながら最終的に1つに決めました。
最後に言葉選びを我々のチームやファインディっぽく変更しました。例えば、会社のバリューに関連するワード「加速(スピード)」や「並走(チームワーク)」を使いました。「集結させる」のか「結集させる」のかで悩んだ際に「結集」には「力を合わせる」という意味合いがあるらしく採用しました。
振り返りとこれからの話
ワークショップを通じて、認識が揃ったことはもちろんですが、Geminiを議論に混ぜることで、より客観的にミッションやバリューを作る上で機能したことの気づきがありました。ある程度コンテキストを与えていたところはありますが、Geminiはより深い事情を知っているチームメンバーよりもいい意味で違った視点の意見を出してくれることが多かったです。またDeep Researchの結果を使って現代のデータエンジニア像をインプットできたのは客観的な視点で情報をまとめてくれたおかげです。
もちろん、Geminiは優秀な壁打ち相手でしたが、AIに頼り切るだけでは「メンバー全員が腹落ちし、意欲的に働くための指針を作る」という部分は達成できなかったように思います。最後に自分たちの手で細かい微調整をし、想いを込めていくプロセスこそが、今回のワークショップで必要だった作業だとわかりました。結果として、会社から求められていること(Mission)と、チームが成し遂げたいこと(Vision)が繋がり、「自分たちの言葉で決めた」という強い納得感のある指針が生まれました。
私たちデータソリューションチームはこの新しいミッション・ビジョンのもと、生成AI時代の新しいデータ基盤づくりに挑戦していきます。ファインディやデータソリューションチームのミッションに共感し、一緒にビジョンを叶えたい方、や我々チームの取り組みに興味を持ってくださった方はぜひ一度カジュアル面談でお話ししましょう!