こんにちは。ファインディ株式会社でエンジニアをしている山岸です。
Findy AI CareerはAI人材に特化した求人プラットフォームです。掲載する求人票は、企業の求人情報をベースにAI活用状況や方針を盛り込んで作成しています。この業務はFindyのbizメンバーが担当しており、1件あたり20分〜1時間ほどかかっていました。
今回、この求人票作成のワークフローをClaude Codeのカスタムスラッシュコマンドとして実装し、作業時間を最大1時間から約5分に短縮しました。
この記事では、Claude CodeとMCP(Model Context Protocol)を組み合わせた業務自動化の具体的な進め方と、エンジニア以外のメンバーが使えるツールに仕上げるまでの過程を紹介します。社内の定型業務をClaude Codeで自動化したい方の参考になれば幸いです。
求人票作成の業務フロー
まず、求人票がどのように作られているかを説明します。
bizメンバーが企業との商談でヒアリングした内容をもとに、Findy側でFindy AI Career向けの求人票を作成・掲載しています。具体的なフローは次のとおりです。
- 求人票のURL・詳細情報を取得
- 商談にてAI記述部分をはじめとする詳細情報をヒアリング
- Notionの企業情報・商談ログやFindy AI Career上に掲載している既存求人、Web上のAI関連記事を統合してClaude(Web版)でドラフト作成
- Google Docにドラフトをコピペし、企業とGoogle Doc上で内容を推敲
- ドラフトFIX後、マークダウンに変換して管理画面から入稿

このうちステップ3が最も工数のかかるボトルネックでした。
何が課題だったのか
ステップ3の問題は大きく2つありました。
1つ目は、参照すべき情報ソースが散らばっていることです。求人票を作成するには、Notionに記録された商談のヒアリング情報、既存のFindy AI Career求人、企業のテックブログや登壇記事など、複数のソースを手作業で集めて統合する必要がありました。中には認証が必要なソースもあり、情報を読めていないケースも発生していました。
2つ目は、作業が属人化していたことです。各メンバーがそれぞれのプロンプトでClaudeに投げていたため、出力品質に個人差がありました。経験豊富なメンバーなら約20分で済む作業が、不慣れなメンバーだと1時間近くかかることもあり、品質のバラつきも課題でした。
解決策: Claude Codeのカスタムスラッシュコマンド
これらの課題を解決するために、Claude Codeのカスタムスラッシュコマンドを開発しました。企業名と求人票URLを渡すだけで、必要な情報を自動収集し、求人票ドラフトを一発で生成するワークフローです。
全体の処理フローは次のようになっています。

実際にコマンドを実行すると、次のような対話形式で求人票が生成されます。
> /create-job-posting ⏺ 求人票作成を開始します。 企業名と既存求人票のURLを教えてください。 > ABC株式会社 ⏺ 既存求人票のURLまたは追加情報はありますか? > https://ai-career.findy-code.io/companies/xxx/jobs/yyy ⏺ Notionから ABC株式会社 の情報を検索します。 ⏺ 以下のNotionページが見つかりました。どのページを使用しますか? 1. ABC株式会社:商談 - 2025/10/09 - AI特化の求人を掲載する方針... 2. ABC株式会社:商談 - 2025/08/22 - AI人材の採用ニーズについて... 3. すべて使用する 4. 使用しない(スキップ) > 1 ⏺ 情報を取得しました。求人票ドラフトを作成します。 ⏺ Write(drafts/abc_ai-engineer_20251224.md) ⎿ Wrote 368 lines ⏺ 求人票ドラフトを作成しました。 確認が必要な項目 - 生成AI活用ラベル: 4つの選択肢から確認が必要 - AI活用に対する評価制度: 既存求人に記載なし - エンジニア・全社のAI利用割合: 具体的な数値が不明
Notion MCPで企業情報を自動取得
MCP(Model Context Protocol)は、AIアシスタントが外部のデータソースやツールと連携するための標準プロトコルです。今回はNotion MCPを使い、企業名を入力するだけで商談時のヒアリング情報を検索・取得できるようにしました。
Notionには大量のページが存在するため、カテゴリとページタイプを指定して検索範囲を絞り込んでいます。検索結果が複数ある場合は、AIに自動で選ばせず、ユーザーに選択してもらう形にすることで、誤った企業情報を参照するリスクを排除しました。
プロンプト設計の工夫
カスタムスラッシュコマンドのプロンプトには、品質を担保するためにいくつかの工夫を入れています。
まず「雰囲気で書かない」という原則です。情報ソースに記載がない項目は推測で埋めず、「確認が必要な項目」としてリストアップするようにしました。これにより、ドラフトのどこが確定情報でどこが未確認なのかが一目でわかります。
既存のFindy AI Career求人からの情報取得にも工夫があります。URLが渡された場合はAPIを呼び出して求人データをJSON形式で取得し、会社概要や技術スタック、福利厚生といった共通項目は正確にコピーされるようカラムを指定しています。これにより「手作業でコピペする」工程が不要になりました。
また、求人票の表現やトーンなど、メンバーごとに判断が分かれていた部分もプロンプトにルールとして明記しています。こうした暗黙知をコードに落とし込んだことで、誰が実行しても同じ品質の出力が得られるようになりました。
試行錯誤した部分
初期のプロンプトでは、AIが情報を補完しすぎる問題がありました。ソースに記載がない「AI活用に対する評価制度」や「エンジニアのAI利用割合」といった項目を、もっともらしく埋めてしまうことがありました。ソースの採用基準が人によって異なる場合や、確認漏れが起きてしまうリスクがあったため、「情報がない場合は【要確認】と明記する」ルールを追加しました。
Notion MCPの検索精度にも課題がありました。初期のプロンプトでは検索範囲の絞り込みが甘く、関係ないページや似たようなページをまとめて読み込んでしまうリスクがあり、検索結果の確実性を担保できていませんでした。Notion MCPの検索精度は、接続先のデータがどれだけ整理されているかに左右されます。今回精度高く検索できたのは、bizメンバーがNotionのデータベースをカテゴリやページタイプで整備してくれていたからです。この運用のおかげで、カテゴリを絞り込んだ上で企業名でフィルタリングする方法が取れました。
エンジニア以外のメンバーへの展開
bizメンバーがClaude Codeを使うのは初めてだったため、Homebrewのインストールから始まるセットアップガイドをREADMEに用意しました。ターミナルの開き方、gitの初期設定、APIの認証設定、Personal Access Tokenの作成手順まで、スクリーンショット付きで解説しています。
実際にbizメンバーに操作してもらうお披露目会も開催しました。その場で「Notionの検索でヒットしない企業がある」「既存求人から流用したい項目がコピーされていない」といったフィードバックをいただき、Notion MCPの検索範囲やFindy APIからのデータ取得を改善していきました。
成果
導入後の変化をまとめます。
| 指標 | Before | After |
|---|---|---|
| 作業時間(1件あたり) | 20分〜1時間 | 約5分 |
| 品質のバラつき | 経験値に依存 | 誰でも同水準 |
| プロンプト | 個人ごとにバラバラ | コマンドとして統一 |
| 情報ソースの収集 | 手作業で複数サイト巡回 | 自動取得 |
経験豊富なメンバーでも20分から5分へと短縮されており、並列で複数の求人票を作成できるようにもなりました。
実際に利用したbizメンバーからは「出力がそのまま使えるレベルで、手直しがほとんど要らなくなった」と好評を得ています。
さらに嬉しい変化として、エンジニアリングのバックグラウンドを全く持たないbizメンバーが、このツールの仕組みを応用して自ら新しい機能を追加するようになりました。本機能がきっかけで、現場の課題に合わせて機能を作っていくという業務の効率化が能動的に起こるようになったのです。
bizメンバーからは「単に求人票作成の業務効率だけでなく、業務全体の効率化を自ら図る基礎ができた。仕組みや考え方を教えてもらったことで、効率化ツールをエンジニア頼りにするのではなく自分でもできる範囲があると気付かされた」という声もいただいています。
まとめ
今回の取り組みを通じて感じたのは、暗黙知をプロンプトに落とし込むことの価値です。個人のスキルや経験に依存していた業務を、カスタムスラッシュコマンドとしてコード化することで、チーム全体で同じ品質を担保できるようになりました。
このプロジェクトは、bizメンバーとの会話から課題を拾い上げたことがきっかけでした。普段からbizメンバーとコミュニケーションを取り、困りごとを気軽に相談してもらえる関係を作っておくことが、こうした改善の第一歩になるのだと実感しました。
Claude Code × MCPの組み合わせは、社内の業務改善ツールとして手軽かつ強力な選択肢です。似たような課題を抱えている方の参考になれば幸いです。
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