登壇スライドを30分で作る:Claude Codeで壁打ちからGoogle Slides生成までワークフロー化

こんにちは。ファインディ株式会社でテックリードマネージャーをやらせてもらってる戸田です。

ファインディではClaude CodeのスキルやカスタムコマンドなどをPlugins経由で社内展開しています。

tech.findy.co.jp

コードレビューやタスク分解といった開発業務の効率化が進む一方で、登壇準備はまだ手作業の割合が大きい領域です。話す内容を固めて、構成を考えて、スライドに落とし込んで、デザインを整えて……。発表の本質は「何を伝えるか」なのに、準備工程に時間を奪われがちです。

本記事では、この課題に対処するために社内Pluginsに作った登壇スライド生成スキルを紹介します。壁打ちによるコアメッセージの言語化からMarkdownスライド生成、Google Slidesへのエクスポートまでを一気通貫で行えるもので、壁打ちから完成まで30分で終わるようになりました。

登壇準備にかかる時間の内訳

登壇準備のどこに時間がかかっているかを振り返ると、スライドのデザインや配置よりも、その手前の工程が大きいことに気づきます。

前半は「何を話すか」の整理です。話したいことはぼんやりあるけれど、コアメッセージを一文にまとめるのが難しい。構成を決めても「この流れで聴衆に伝わるか?」と不安になって何度も組み替える。ここが一番時間を食います。

後半はスライドの作成とリハーサルです。ようやく構成が固まっても、今度はスライドツールを開いてフォーマットやデザインと格闘する。前半さえ効率化できれば、発表内容そのものの質を上げる時間に使えるはずだと考えました。

NotebookLMを試して感じた限界

最初に試したのはGoogleのNotebookLMでした。ソース資料を読み込ませてスライドを生成できる機能があり、期待して使ってみました。

ただ、実際に使ってみるといくつか壁がありました。出力がPDFや画像形式のため、生成後の編集が難しい点です。スライドの順番を入れ替えたい、テキストを修正したいといった基本的な操作ができず、結局ゼロから作り直す羽目になりました。

もう一つは、社内のスライドガイドラインに沿った出力が非常に難しかったことです。フォントやカラースキーム、ロゴの配置などは組織ごとにルールがあります。汎用的なAIツールではそこまで制御できず、ガイドラインに準拠させるための手作業が発生していました。

Claude Codeスキルという選択肢

これらの課題を踏まえて、Claude Codeのカスタムスキルとして登壇スライド生成ワークフローを自作しました。Claude Codeスキルを選んだ理由は、対話的なワークフローを自然に組めること、Markdownで中間出力できること、そしてAPIを叩いて外部サービスに連携できることの3点です。

開発したのは2つのスキルです。1つ目がMarkdownスライドの生成、2つ目がGoogle Slidesへの変換を担います。

ワークフローの全体像

スキルを実行すると、次の流れで処理が進みます。

  1. 参考URLやコードスニペットの収集(任意)
  2. 壁打ちでコアメッセージを言語化
  3. タイトル・概要・発表時間の入力
  4. テンプレートに基づく構成設計
  5. Markdownスライドの生成
  6. Google Slidesへのエクスポート(任意)

各フェーズを詳しく見ていきます。

壁打ちフェーズ:コアメッセージの言語化

このスキルで最も力を入れたのが壁打ちフェーズです。登壇準備で一番時間がかかるのは「何を伝えるか」を固める工程だからです。

スキルを起動すると、まず対象オーディエンス(テックリード、シニアエンジニア、EMなど)を選択します。次に「発表内容はすでに決まっていますか?」と聞かれ、「まだ漠然としている」を選ぶと壁打ちモードに入ります。

? スライドに取り込みたいURLやコードスニペットはありますか?(任意)
> なし

? 対象オーディエンスを教えてください(複数選択可)
  エンジニア系: ✔ テックリード ✔ シニアエンジニア
  マネジメント系: ✔ EM

? 発表内容はすでに決まっていますか?
> まだ漠然としている(一緒に考えたい)

どんな発表をしたいですか?テーマや話したいこと、伝えたいことを
自由に教えてください。まだ漠然としていても大丈夫です。

壁打ちは次の順序で進みます。

  1. コアメッセージの確定 — 「この発表で一番伝えたいこと」を1文に絞る
  2. 逆算による構成設計 — コアメッセージを結論として、聴衆が納得するために必要な情報を逆順に積み上げる
  3. タイトル・概要の決定 — 構成が固まった後に、コアメッセージが伝わるタイトルを考える

ポイントは「逆算」というアプローチです。結論から遡って構成を組むことで、「話したいことを全部詰め込んだけど結局何が言いたいのかわからない」というよくある失敗を防ぎます。

実際のやり取りはこんな感じです。

> 生成AI時代のエンジニア育成について話したいんですけど、
  まだ切り口が定まってなくて

エンジニア育成×生成AIですね。テックリードやEM向けなので、
現場のリアルな課題感が求められます。
AI導入後に育成面で一番変化を感じたのはどこですか?
学習速度、コードの質、それともチームの生産性でしょうか?

> AI導入後にシニアの生産性は上がったんですが、
  若手のアウトプットの質がむしろ落ちていて。
  AIの出力をそのまま使ってしまって、理解が追いついてない感じです

なぜAIの出力をそのまま使ってしまい、理解が追いついていないと感じていますか?

> AIが出力したコードを理解せずにレビュー依頼するケースが増えていて、
  結果的にリードタイムが悪化していることはわかった。
  AI時代の今だからこそ原点回帰が必要。

なるほど。つまり「生成AI時代だからこそエンジニアの基礎力の価値が
上がっている。AIを"使う"側に立つには原点回帰が必要。」
ということを一番伝えたい、という理解で合っていますか?

> はい

Claudeがコアメッセージを1文に言語化してくれるので、対話で壁打ちを進められます。コアメッセージが確定すると、逆算で構成を組んだうえでまとめを提示してくれます。

壁打ちの結果をまとめました!

タイトル案: 生成AI時代のエンジニア育成 — 変わる時代と変わらないコト
概要: 生成AIの導入でシニアの生産性は上がったが、若手のアウトプットの
  質は低下していた。AIが出力したコードを理解せずにレビュー依頼する
  ケースが増え、結果的にリードタイムが悪化。基礎知識なきAI活用は
  「AIに使われている」状態であり、今こそ原点回帰が必要だと気づいた
  実体験を共有する。
コアメッセージ: 生成AI時代だからこそエンジニアの基礎力の価値が
  上がっている。AIを"使う"側に立つには原点回帰が必要。

? このまとめでスライド生成に進みますか?
> 進む

テンプレート設計:発表時間から逆算するスライド枚数

スキルには3種類のテンプレートを用意しました。

  • standard — 20〜60分のカンファレンストーク向け。背景→本題→デモ→まとめの王道構成
  • lt — 5〜10分のLightning Talk向け。「結論ファースト」で1点突破
  • tutorial — 30〜40分のハンズオン向け。手順ごとに検証ステップを挟む

発表時間を選ぶと、テンプレートが自動選択されます。5分や10分ならLTテンプレート、15〜20分ならstandard、30分以上でハンズオン形式ならtutorialです。

スライド枚数は「1分1枚」を基準に算出しています。20分の発表なら15〜20枚。セクションごとの配分は、背景10〜15%、メインコンテンツ50〜60%、デモ15〜20%、まとめ・Q&Aで残りという割合で自動配分されます。

? 発表時間を選択してください
> 20分

テンプレート: standard(カンファレンストーク向け)を自動選択しました
目標スライド枚数: 15〜20枚

構成を設計しています...
? スライドに取り込みたいURLやコードスニペットはありますか?(任意)
> https://tech.findy.co.jp/entry/2026/02/20/070000

URLの内容を取得しています...
✓ 取得完了: https://tech.findy.co.jp/entry/2026/02/20/070000
  → 要点を抽出し、背景・メインコンテンツのセクションに反映します
  → 参考資料スライドにリンクを追加します

Google Slides API

Markdownで生成したスライドをGoogle Slidesに変換するスキルも開発しました。Google Slides APIを実行しており、OAuth2認証でユーザーのGoogleアカウントに紐づけています。

developers.google.com

? Google Slidesにエクスポートしますか?
> エクスポートする

Google Slidesにエクスポートしています...
✓ エクスポートが完了しました
  URL: https://docs.google.com/presentation/d/1abc.../edit

テンプレートコピー方式

今回は会社のスライドマスター(テンプレート)をGoogle Drive API経由でコピーし、そこにスライドを追加していく方式を採用しました。テンプレートには表紙・中扉・詳細ページのレイアウトが定義されており、Markdownの見出しレベルに応じて適切なレイアウトを選択します。

Markdownからスライドへの変換ルール

Markdownのパース結果は、見出しレベルとボディの有無でスライドの種類を自動分類しています。

Markdownのパターン スライドの種類 デザイン
# タイトル 表紙 背景画像あり
## 見出し + 本文あり 詳細ページ 背景画像あり
## 見出し のみ(本文なし) セクション区切り グレー背景 + 白文字

##の中に###の小見出しが含まれる場合は、自動的にセクション区切り1枚 + 小見出しごとの詳細ページに展開します。たとえば「AI時代の到来と変化」の下に「変わったこと」「変わらなかったこと」の2つの###があれば、計3枚のスライドに分割されます。

デザインガイドラインの組み込み

会社指定のスライドガイドラインをスキルの定義ファイルに直接記述しています。フォントやカラーパレット、サイズといったルールをスキルの中で持ち、エクスポート時に各要素に適用します。

70点の完成度で出す割り切り

運用上、重要にしているのは「70点の完成度で一発出力し、残りは人間が仕上げる」という割り切りです。

AIが100点のスライドを作るのは現状難しいですし、目指す必要もないと考えています。スライドの完成度を70点から100点にするのは人間の感性が必要な部分です。逆に、0点から70点の工程(構成決め、テキスト配置、フォーマット統一)はAIの得意分野です。

この分業により最速で「壁打ち15分 + スライド生成5分 + 手動調整10分 = 30分」で登壇準備が完了するようになりました。

まとめ

今回紹介したスキルで作成されたスライドがこちらです。

登壇準備の工程をClaude Codeスキルで一気通貫にしたことで、壁打ちから完成まで30分程度で終わりました。

このスキルの価値は「スライドを自動生成すること」自体ではなく、「コアメッセージの言語化を対話で支援すること」にある点です。登壇準備で本当に時間がかかるのは構成やデザインではなく、「自分が何を伝えたいか」を整理する工程だったのだと、スキルを開発する過程で改めて実感しました。

登壇の機会があるエンジニアの方は、ぜひ挑戦してみてください。


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herp.careers