こんにちは。ファインディ株式会社でデータエンジニアをしている開です。
2026年4月28日(火)に、データソリューションチーム主催の採用イベント「事業成長に効かせるファインディ流データエンジニアリングの実践」を開催しました。
この記事では、イベントを企画した背景と当日の3本のセッションを参加できなかった方にもイメージが伝わるようにまとめます。
- イベント開催の背景
- セッション1: ファインディの事業拡大を支える拡張可能なデータ基盤へのリアーキテクチャ
- セッション2: データモデリングを通して管理会計のオペレーションを再設計
- セッション3: 社内で使われるLooker整備の進め方
- まとめ
イベント開催の背景
ファインディでは、既存4プロダクトに加えて、新たに4つのプロダクトをリリースし、エンジニアの皆さまへサービスを多角的に展開しています。会社規模の拡大とともに、扱うデータの量と種類は急速に広がってきました。
変化の激しい事業環境のなかで客観的な意思決定を支えるには、社内の情報流通をより活性化させる仕組みが欠かせません。私たちは、その土台を担うのがデータエンジニアリングだと考えています。
データソリューションチームは少数精鋭で推進してきましたが、事業成長のスピードに合わせてデータ基盤をさらにスケールさせるには、共に挑戦してくれる仲間の存在が不可欠です。今回のイベントは、ファインディがどのような課題に向き合い、どのような技術と組織で解いているかを直接お話しする機会としました。
セッションは3本立てで、データ基盤・データモデリング・BIの3つの観点からファインディのデータエンジニアリングをお話ししました。
セッション1: ファインディの事業拡大を支える拡張可能なデータ基盤へのリアーキテクチャ
登壇者: 開
事業拡大に合わせてデータ基盤をどうリアーキテクチャしているかを紹介しました。直近1年でデータソースは10倍、Google Cloudプロジェクトは6倍に増える一方、データエンジニアは3名のままで、認知コストと運用負荷が膨らんでいました。
これまでは事業=ドメインとしたデータメッシュ的な構成で、技術選定も各チームに委ねていました。アジリティは出る一方で、ドメイン間の連携不足や技術のばらつき、作業重複が課題になっていました。
そこで、データメッシュの利点は残しつつ実装を見直し、Google Cloudプロジェクトの統合、IAMのデータセット単位での管理、dbt Platformへのオーケストレーション集約やマネージドサービスの活用を進めています。これによりマネージドサービスのAPIやMCPを用いてAIエージェントに運用を一部移譲することができています。作成したスキルやサブエージェントは以前テックブログで紹介したプラグインとしてチーム全体で使えるようにしています。
DataOpsの省力化が進む一方、コスト透明性の低下といった新しい課題も見え、FinOps体制の構築や、浮いた時間をデータ活用者との会話やイネーブリングに使っていくことを次のテーマにしています。
セッション2: データモデリングを通して管理会計のオペレーションを再設計
登壇者: 田頭さん
経営判断に直結する管理会計という業務領域に対して、データモデリングの観点からオペレーションを再設計した取り組みを紹介しました。
ファインディの管理会計は、長らくスプレッドシートを中心に回っていました。月次のたびに関数とピボットを手作業で組み直し、IMPORTRANGEやVLOOKUPで絡み合ったスプレッドシートのリネージは50件を超え、どこか1枚崩れると全体が連鎖して壊れる脆さを抱えていました。同じKPIが部署ごとに別ロジックで計算されて数字が合わない、月次締めに2〜3日かかって意思決定が後追いになる、といった状態も常態化していました。
再設計の起点に置いたのは、技術選定ではなく業務担当者へのヒアリングです。「計上組織」「補助科目」「配賦」「予算番号」といった専門用語が飛び交うなか、勘定元帳やマクロを眺めるだけでは掴めない集計粒度や分析軸を、経営管理部の担当者と何度もMTGを重ねて引き出していきました。書籍『アジャイルデータモデリング 組織にデータ分析を広めるためのテーブル設計ガイド』のBEAM✲を参考に、誰が・何を・いつ・どこで集計したいのかを対話から輪郭化し、総勘定元帳を起点に売上・費用・原価を月次粒度のファクトとして整理しています。
実装は、会計データソースをGoogle DriveにアップロードしてTROCCOで取り込み、dbtで集計してLookerやスプレッドシートから参照する構成に落としています。これにより、ワンボタンで月次の実績値が揃い、想定外の科目も自動で検出できるようになりました。「どの数字が正しいか」を議論する場面はなくなり、月次締めの所要時間と数字の信頼性が同時に改善しています。
今後は、実績ファクトと同じ粒度で予算・見通しを取り込んだ予実分析の自動化や、整備済みのファクトを起点にAIエージェントが自然言語で会計分析を行える基盤への展開を進めています。
セッション3: 社内で使われるLooker整備の進め方
登壇者: 出相さん
社内で実際に使われるBIにするためにLookerをどのように整備してきたかを紹介しました。「ダッシュボードを作った瞬間がピークになって使われなくなる」「事業部からはデータ活用の入口が見えない」「スプレッドシート運用が属人化して限界が見えている」といった、よくある課題を出発点にしています。
ファインディでは、Lookerを意思決定にひも付くダッシュボードを定常的に見る場としてだけでなく、Exploreや会話分析でデータそのものを探索する場にすることを目指しています。ただし、最初はLookerを見に行く習慣もExploreの操作にも慣れていないため、進め方の工夫が欠かせません。
そこで、ヒアリングで課題を引き出す → 最低限の機能に絞って最初のダッシュボードを素早く提供する → 共有MTGで一緒に触りながら改善ループを回す → 利用が定着してからディメンショナルモデルやメタデータを整える、という4ステップで価値を積み上げてきました。完璧な設計よりも早い体験提供を優先し、苦労していたことから先に解消していくことを大切にしています。詳しい進め方は以前のテックブログでも紹介しています。
その結果、MAUは2026年1月から4月途中で約1.5倍、WAUは1月中旬から4月中旬で約2.6倍に成長しました。経営管理部からも「BigQueryやLookerを駆使したモニタリングが事業拡大に不可欠」というコメントが届くなど、Lookerが信頼できるデータソースとして社内に定着してきています。
まとめ
今回のイベントを通じて、ファインディがデータエンジニアリングをどのように事業に効かせようとしているかを、3つの異なる切り口でお伝えできたと思います。データ基盤・データモデリング・BIのいずれも、技術そのものよりも「事業や業務にどう接続するか」を軸に進めてきた取り組みです。
参加してくださった皆さん、ありがとうございました!
ファインディでは、データエンジニアリングの力で事業成長を支える仲間を募集しています。今回のイベント内容に少しでも興味を持っていただけた方は、ぜひお気軽にカジュアル面談などでお話しできるとうれしいです。