「開発生産性の教科書」という本を執筆しました

こんにちは!ファインディ CTOの佐藤(@ma3tk)です。

表題の通り、約1年半ほどの期間をかけて「エンジニア組織を強くする 開発生産性の教科書 ~事例から学ぶ、生産性向上への取り組み方~」(以降、開発生産性の教科書)という本を執筆しました。

本日(2024年7月11日)発売となりましたので、改めて「開発生産性」に対する思いをお伝えしたり、本の内容の一部をご紹介したいと思います。

「開発生産性の教科書」のご紹介

エンジニア組織を強くする 開発生産性の教科書

本の概要は次のとおりです。

項目 詳細
タイトル エンジニア組織を強くする 開発生産性の教科書 ~事例から学ぶ、生産性向上への取り組み方~
著者 佐藤 将高、Findy Inc.
発行 技術評論社
定価 2,860円(税込)
発売日 2024年7月11日
ISBN 978-4297142490
購入 Amazon / 楽天ブックス
全国書店、その他オンライン書店
電子版 Gihyo Digital Publishing / Amazon / 楽天ブックス

全国書店にてお買い求めいただけますので、是非チェックしてみてください。

そもそもなぜ本を執筆しようとしたのか

元を辿ると、2019年末頃からFindy Team+(当時はFindy Teams)というサービスを僕が開発し始めた時に遡ります。

「エンジニア組織で困っていることってなんですか?」

この問いをおおよそ20〜30社のCTOやVPoE、開発部長やEMの皆様とお話してきました。

エンジニア組織課題を深堀りさせていただく中で、よりよい組織を作っていきたいという思いを受け取りました。少子高齢化や開発内製化の動きを受けエンジニア採用が難しくなる中で、在籍しているメンバーの技術力を向上し、組織の開発生産性を向上させることに興味関心をいただきました。

  • 「何をどうしたら組織が良くなるのかがわからない」
  • 「生産性を上げる必要があるが、初手に困っている」

お伺いする中で、開発生産性の向上に直結する打ち手で迷うことが多いと学びました。ファインディでも開発生産性の向上をどう実現するか、Findy Team+のサービス利用者の悩みを解決するお手伝いをさせていただいたく上でどう価値提供ができるかを模索し続けてきました。

「開発生産性」の理解が難しいように感じてしまう

サービスを通じた価値提供を続ける中で自分自身が感じたことは、「開発生産性という言葉は多義語で、どう定義するといいのかわからない」ということでした。

開発生産性についてずっと調べ続けていくと、Four KeysやSPACEといった概念が出てきて混乱したり、「数値化して本当にエンジニアにとって嬉しいのか?」というような疑問を自分自身でも考えるようになりました。今となっては理解が進みましたが、初学のタイミングでは整理に時間を要しました。同じように難しく感じてしまう方もきっといらっしゃると思います。

開発生産性についてどこかで学んだことがある方は多くはないはずです。1年ほど前からエンジニアの方を始め、プロダクト開発に関わる様々な方・経営者の方に開発生産性に関する知見を共有するためには本を書くことで「開発生産性に対しての理解を向上する」ことが実現できそうであると思い立ちました。

今回の本では、「開発生産性」という言葉の難しさを少しでも紐解き、どんな組織でも取り組みやすい入門書として出版するに至りました。

「開発生産性を上げるために大事なこと」を多くの人に知ってもらいたい

Findy Team+のサービスをリリースする中で、「監視されるのではないか?」「数値を可視化するリスクがあるのではないか?」というご意見が特に多いです。

本書によって開発生産性を向上させるための認識を統一し、誤解を減らしたいと思っております。本書の中にも「監視するのではなく、認識を揃える」という内容も記述しています。

組織の定量化にフォーカスが当たりがちですが、開発生産性を上げて顧客に価値を多く提供することや、もっと言えば売上やKPI向上へつながるような開発に集中できることが大事だと思っています。そのため、定量化そのものよりも定量化して過去と比較することで「どこに課題がありそうか?」を知るための道しるべのようなものかと思っています。

開発生産性指標を向上させるためにやってはいけないアンチパターン - Findy Tech Blog の記事にも書いているように、数値に影響しないようにハックをすることではなく、現在のプロダクト開発においてどこがボトルネックかの目星をつけ、定量的にすることで他者との認識を揃えることが本質だと思っています。

数値だけを追ってしまうと監視につながってしまいかねませんし、数値に現れにくい「社内のメンバーの積極的なヘルプ」や「積極的なミーティングのファシリテーション」などを誰もやらなくなってしまいます。これでは本末転倒ですね…!

こういった誤解や誤用があるため、本書によってそれを少しでも減らしたいと考えています。そして、これまで以上に事業貢献につながる開発ができる世の中で溢れてほしいと考えています。

本書の特徴:入門から実践まで網羅している教科書であること

改めて、本書の特徴としては大きく3つあります。

1. 体系的に整理された開発生産性の知識が学べる

前述したようにFindy Team+の開発を通じて、プロダクトオーナーとして「開発生産性」について色々調べてきました。しかし、「開発生産性」について体系的にまとまっているものがあまりなかったため、改めて自分の理解度向上も兼ねてまとめなおしました。

2. 実践への第一歩として、始めやすさにフォーカスした

海外の訳書などはアカデミックに研究が重ねられており、非常に良質な本があります。特に、LeanとDevOpsの科学 は「開発生産性」について学ぶうえで是非読んでほしい一冊です。一方でどう始めるとよいのかについて自分はもっと情報が欲しかったこともあり、「開発生産性の教科書」は取っ付きやすさを大事にし、具体的にどうするといいのかを私自身の実体験や企業事例を交えながらなるべく読みやすい言葉遣いで記載しています。是非どちらも読んでいただくと「開発生産性」に対する理解が深まると思います。

3. 成功へのヒントとして事例を5社集めまとめた

また、ファインディ社を含め5社の事例を集めました。

  • BuySell Technologies社:生産性の高さをIR資料に掲載し、社内外での評価を高めたことで、エンジニア採用にも好影響を与え、候補者からの関心を引いたお話
  • ツクルバ社:開発生産性を向上させるための基盤を作ったことで、iOSアーキテクチャの改修プロジェクトを成功させ、変更行数の削減やサイクルタイムの短縮を実現したお話
  • クラスメソッド社:開発生産性を向上させるための予算獲得や施策実行をしたことで、エンジニア組織全体のモチベーションも向上し、エンジニアリングの効率化と品質向上を実現したお話
  • ワンキャリア社:SPACEフレームワークの実現や毎日のリリース体制への移行を進めたお話
  • ファインディ社:CI時間の短縮やテストコードの拡充によるサービスの安定性と開発フローの改善の話

具体的にどう進めるとどんな効果があるかについても読める一冊に仕上げております!

また、執筆にご協力いただいた各社のご担当者様に、心より感謝申し上げます。

開発生産性の向上とこれから

本記事では開発生産性の教科書の一部をご紹介させていただきました。

開発生産性を向上することで、個人の市場価値も上げられたり、組織のKPI/売上がよりよいものになるだけではなく、組織そのものの雰囲気がよくなることにもつながってくるはずです。あくまでも数値は健康指標として扱いながら、課題を見つけ出し解決に向けて進めることが大事だと思っています。

ファインディは「挑戦するエンジニアのプラットフォームをつくる」というビジョンの元、様々なエンジニアの皆さまやエンジニア組織においてより前向きに挑戦できる環境を一緒に作れたらと思っています。

改めて、今回の本を執筆するにあたりご協力いただいた方・編集の皆様、ありがとうございました。「開発生産性の教科書」が皆様の挑戦に役立てられたら嬉しいです。是非興味を持っていただけたらお手元にとっていただけると幸いです。

購入は以下からどうぞ!

また、こういったイベントもありますのでよかったらご参加どうぞ〜!

d-plus.connpass.com